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ナノカーボンFAQ

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ナノカーボンFAQ

作成 2015.9.1/改訂 2017.10.24

ナノ材料(粉体)を取り扱う際にはどのようなことに注意すべきでしょうか

「1.国内規制」「2.国内指針等」「3.標準類」「4.その他の情報」の各観点に分けて回答いたします。

■回答

1.国内規制

ナノ材料としての規制はありません。粉体としては以下の規制があります。

  1. 労働安全衛生法:粉じん障害防止規則
  2. じん肺法:じん肺法施行規則

2.国内指針等

  1. 厚生労働省
    基発第0331013号(平成21年3月31日)「ナノマテリアルに対するばく露防止等のための予防的対応について」
  2. 環境省
    「工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン」(平成21年3月)
  3. 上記指針に記載されている事項の抜粋を記します。

(1)取扱者への暴露防止

1)作業環境:製造取扱い装置の密閉化、局所排気装置等の設置
2)作業管理:保護具の着用(参照:ナノカーボンFAQ:ナノ材料を取り扱う際にはどのような保護具を使用すれば良いでしょうか)、作業場所の清掃

(2)取扱い作業場から外部への汚染防止

1)ナノ材料の作業場所から放出防止

  • 作業場所は全体換気により負圧にし、ナノ材料を外部への放出防止
  • 全体換気装置、局所排気装置のフィルターに、ナノ材料が捕集可能なフィルター、あるいはHEPAフィルターを設置して放出防止
  • ナノ材料を含む排水は、排水処理施設により濾別や沈降処理を行い、ナノ材料の放出防止

2)ナノ材料の梱包・運搬等

  • 密閉容器を用いて運搬過程でナノ材料が飛散放出されない措置

3)ナノ材料、ナノ材料が付着した廃棄物の処理方法

  • 他の廃棄物と区別し、密閉して保管する。
  • 炭素系ナノ材料は焼却、無機系ナノ材料は固化など、ナノ材料の性状により適切な処理を行う。

3.標準類(ISO,OECD,JIS等)

下記の標準類が制定されています。

  1. ISO/TR12885 Nanotechnologies-Health and safety practices in occupational settings relevant to nanotechnologies (2008年10月)
    労働現場での健康と安全に関する知見がまとめられています。労働現場で実施すべき点として、材料の危険性の把握、ナノ材料の曝露評価、労働現場でのリスク評価、管理方法について記載されています。
  2. ISO/TS12901-1 Nanotechnologies- Occupational risk management applied to engineered nanomaterials-Part1:Principles and approaches.(2012年11月)
    工業ナノ材料を扱う作業者の健康安全リスク低減のための管理の原則と手引きが規定されています。情報収集、健康リスク評価、リスク管理、管理のための測定方法、健康調査、流出と事故による放出、廃棄手順、火災と爆発防止や、コントロール手法として設定されたばく露基準に基づく手法等も記載されています。
  3. ISO/TS12901-2 Nanotechnologies - Occupational risk management applied to engineered nanomaterials-Part2:The use of the Control Banding approach in occupational risk management. (2014年1月)
    第1部が原則と手引き、この第2部は手法の一つであるコントロールバンディングについて記載されています。コントロールバンディングとは、情報を基にハザードバンドと曝露ポテンシャルバンドを決め、その結果からコントロールバンドを決定、管理すべき手段を決定する手法です。事務的に管理手段を決定することができ、専門家でなくても管理業務を行えます。

4.その他の情報

ナノ材料取扱い時のばく露防止対策、注意事項が下記資料に示されています。

  1. 日本粉体工業技術協会(編)「ナノ粒子安全性ハンドブック」2012年9月28日 (日刊工業新聞社)
  2. NIOSH (2013). NIOSH Current Intelligence Bulletin 65: Occupational Exposure to Carbon Nanotubes and Nanofibers. April 2013.
    (和訳版:http://www.nanosafety.jp/united-states-government/niosh/39-201312nioshcntcnf/)