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ナノカーボンFAQ

作成 2017.2.8 改訂2018.2.1

がん原性指針とは? がん原性指針の対象となるCNTとは何ですか?

■回答

「がん原性指針」とは、正式には「化学物質による健康障害を防止するための指針」と言い、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき「がんを起こすおそれのある化学物質について、労働者の健康障害を防止するために厚生労働大臣が公表するもの」です。
基本的には厚生労働省が実施したがん原性試験で動物にがん原性が確認された物質等について、指針の対象としています。

指針は法令ではありませんが、労働者がこれらの物質に長期間ばく露された場合に、がんを生ずる可能性が否定できないことから、対象物質の製造・取扱いに際して事業者が講ずべき措置を指導しているものです。

このがん原性指針については、2016年3月31日付けで「多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の一種」として公示が発出されました。
この公示ではMWNT-7(名称変更後NT-7K)という名称の「MWCNTの一種のみ」が指針の対象として定められています。

今回、厚生労働省は、これまでに発表された信頼できる論文、報告14報を精査した上で、MWNT-7という1種類のMWCNTのみを指針対象としたもので、すべてのMWCNTを対象としたものではありません。
またMWNT-7であっても樹脂等の固体に練り込まれている状態で、労働者がMWNT-7そのものに暴露する恐れが無いときは、指針の対象外となります。

上記記載内容を示す「公示」「指針」「通達」等、関連するリンクを以下に示しますので、参考として下さい。
1. 公示(第26号)
 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K160331K0010.pdf

2. 指針=公示の内容
 2.1 本文
 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K160331K0012.pdf
 2.2 新旧対照表
 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K160331K0011.pdf

3. 通達=指針の詳細と解説
 3.1「労働安全衛生法第28 条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による
 健康障害を防止するための指針の一部を改正する指針」の周知について
 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160406K0020.pdf
 3.2「労働安全衛生法第28 条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による
 健康障害を防止するための指針」について
 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160406K0030.pdf

これら指針全体の要旨については、NBCIのHP中に「多層カーボンナノチューブ(MWCNT)に関する厚生労働省の対応」として発表しています。
https://www.nbci.jp/file/20160413.pdf

今回精査対象となった報告書で示された発がん性はげっ歯類のもので、ヒトでの発がん性を示すものではありません。
またCNTは極めて多様性の高い物質ですので、1種類のCNTで示された発がん性が、すべてのCNTの発がん性を代表する事はありません。

がん原性指針を含んだ「CNT発がん性に対するNBCI見解」は、以下の通りです。
https://www.nbci.jp/file/20160115.pdf

なおカーボンナノチューブは、現時点では適切なCAS番号は存在しません。
このため通常はがん原性指針に記載されるCAS番号は表示されていません。

現在、308068-56-6という番号がCNTのCAS番号として記載されている例が多く見られます。しかしこの番号はCNTを包括的に示すものではなく、CNTを取り扱う各国の商社などがその引用や根拠を確認しないまま、無分別にコピーして世界中に拡散したものと考えられます。

従い当然ながら、この番号は例えば今回指針の対象となった特定のCNTを示すものではありませんので、CAS番号は表示されておりません。