15 2013/10/18(金)

メルマガnano2biz15号をお届けします。

産業革新の切り札としてナノテクが注目を集めて早や10年が経過、いよいよ実用化に向けた取り組みが始まりつつあるようです。
内閣府が「総合科学技術会議における政策立案調査」の一環として、「共通基盤技術(ナノテクノロジー・材料)」の調査検討、
NEDOが「ナノテクノロジー・材料技術分野の技術ロードマップ策定に関する調査」の公募をしています。

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nanobiz News

◆技術開発動向

■ 高エネルギー密度の次世代リチウムイオン電池を開発

―新規鉄マンガン系正極を開発し、従来比1.7倍のエネルギー密度を実証―
 NEC、田中化学研究所および、積水化学工業は、産業技術総合研究所と共同で、新規鉄マンガン系正極を使った次世代リチウムイオン電池を開発しました。
 現在実用化されているマンガンスピネル系正極を使ったリチウムイオン電池の約1.7倍となるエネルギー密度271Wh/kgを実現しました。本リチウムイオン電池技術は、リチウムイオン電池の低コスト化、環境対応自動車のさらなる航続距離延伸、定置用蓄電システムの小型軽量化等に貢献します。
 今後も、本リチウムイオン電池の信頼性、安全性などの課題解決に努め、2020年頃の実用化を目指した研究開発に積極的が進められます。
http://jpn.nec.com/press/201310/20131001_03.html


■ 次世代パワーエレクトロニクス用感光性耐熱レジストを開発

SiC半導体製造のイオン注入工程を大幅簡略化―
 東レは次世代パワーエレクトロニクス「
SiC」半導体デバイス製造工程であるイオン注入工程を大幅に簡略化できる感光性耐熱レジストを開発しました。
 
SiC半導体は、Si半導体の10倍の絶縁破壊耐性や高耐熱性であるなど、次世代の半導体材料として注目されていますが、長く複雑な加工を数回繰り返すため、高コストであるという課題がありました。今回開発した感光性耐熱レジスト材料は、マスク材料並みの耐熱性があるため一層の塗布で直接パターニングが可能であり、大幅なプロセス簡略化が可能となります。
 これから「
TPEC」において、簡略化プロセスによるデバイス製作の実証検証を進め、メタル・オキサイド・セミコンダクター・フィールド・イフェクト・トランジスターのデバイス製作の実証検証が進められます。
http://www.toray.co.jp/news/rd/nr131001b.html


■ 半導体ポリマーの配向制御技術を開発

―有機薄膜太陽電池の高効率化に向けて加速―
 理化学研究所 創発物性科学研究センターの尾坂格 氏らは、有機半導体の溶液を塗布して作る有機薄膜太陽電池の変換効率向上の要となる半導体ポリマーの配向制御技術を開発しました。
 塗布型
OPVは軽量で柔軟な上、有機半導体の溶液を塗布して作製でき大面積化が可能であるため、現在普及しているシリコン太陽電池にはない特長を持つ次世代太陽電池として注目されています。
 変換効率がシリコン太陽電池(
20%以上)より劣るため、変換効率の向上が課題となっていました。光吸収によって発生した電荷がポリマー内で流れやすくする手法が考えられ、ポリマーの配列方向(配向)を平行にそろえることが有効とされていたものです。
さらに、ポリマー膜を従来の
2〜10倍厚く作製することが可能となり、太陽光をより効率的に集光できるようになり、約5%から7.5%まで変換効率が顕著に向上しました。
 実用化の目安とされる変換効率
15%の到達に向けて研究開発が加速し、大面積の塗布型OPVの製造にも大きく貢献することが期待されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20131007/


■ 有機超薄膜に金属ナノクラスターの電極を形成する技術を開発

―有機薄膜デバイスの高性能化へ道を開く―
 有機薄膜デバイスの実用化、高性能化には、金属電極と有機薄膜間に形成される界面の構造や電子特性の改善が課題とされていました。
 慶應義塾大学 理工学部の中嶋敦 教授らは、フラーレンの薄膜上に銀ナノクラスター(銀の原子レベルの集団)を固定化することに成功、金属電極を形成する技術を開発しました。さらに、銀ナノクラスターを介してフラーレン層の最表面に電子および正孔を注入できることも確認できています。
 今回の成果により、金属と有機薄膜の界面における電荷の注入・分離・蓄積などを精密制御する方法に道を開くことが期待されています。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20131007-2/


■ 色素増感太陽電池の色素吸着構造を分子レベルで解明

―色素吸着構造制御に成功―
 物質材料研究機構ナノ材料科学環境拠点のハイブリッド太陽電池グループは、色素増感太陽電池の分子/電極界面近傍で生じる特異な吸着構造の変化と光電流の関係について、高エネルギー加速器研究機構における放射光軟X線実験で明らかにしました。
http://www.nims.go.jp/news/press/2013/10/p201310100.html


◆イベント・セミナー等の紹介

産総研オープンラボの開催

産総研オープンラボ
 既に、nano2biz13号でもお知らせしましたが、
 産総研のオープンラボの開催の時期が迫ってきました。
 開催期間 2013年10月31日(木)、11月1日(金)
 
http://www.aist-openlab.jp/
 http://www.aist.go.jp/aist_j/event/ev2013/ev20131031_2/ev20131031_2.html


産学共同実用化開発事業

産学共同実用化開発事業
 第三回目が募集されています。
 大学等研究成果に基づくシーズを用いた、企業等が行うにはリスクが高い、規模の大きい技術移転に対する支援事業です。

 開発期間:原則として、5年以上10年以下
 開発費:期間全体を通じ原則、総額3億円以上、50億円を上限(一般管理費を含む)
 公募期間:平成25年9月30日(月)正午〜平成25年12月20日(金)正午
 http://www.jst.go.jp/jitsuyoka/


 


  ◆編集局から「バックナンバー」のご案内
 

このメルマガnano2bizにバックナンバーと書いてありますが、「クリックしても見られないじゃないか」と多くの方々からご連絡いただいておりました。

このたび漸く復旧させることができました。
ご関心のある方は、クリックして覗いてみてください。
そして、もし面白い使い方やお気づきの点などありましたら、ご一報ください。

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