◆技術開発動向
■ 半導体ダイオードの3倍感度のスピンダイオードを開発!
−ICタグ・車載レーダーなど、スピントロニクス素子の新しい応用− 大阪大学 基礎工学研究科の三輪真嗣 助教らは産業技術総合研究所 ナノスピントロニクス研究センターの野崎隆行 主任研究員らとともに、半導体ダイオードの性能を上回る、ナノメートルサイズの磁石を用いたスピントルクダイオードの開発に成功しました。 スピントルクダイオードはその高感度・小型・高速チューニング・低抵抗・周波数選択性などの特性のため、通信機器・ICタグや車載レーダーなどに代表される高周波エレクトロニクス素子への応用が期待できます。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2013/pr20131021/pr20131021.html
■ 物質・材料研究機構 資源開発のための高性能オイル吸着材の開発
−工業用高分子をナノ多孔化する新製法を発見−
NIMS先端的共通技術部門 高分子材料ユニットの研究者らは、石油随伴水などのオイル成分を含んだ汚染水を低コストで浄化できる高性能オイル吸着材を開発。この新しいオイル吸着材は、資源開発の現場において経済的な水浄化システムの実現が期待できます。
http://www.nims.go.jp/news/press/2013/10/p201310220.html
- 深冷下での高分子と溶媒の相分離現象に着目し、エンジニアリングプラスチックの内部に溶媒のナノ結晶を形成させ、このナノ結晶を独自の方法で除去することで、極細のナノ細孔が連続的に繋がった高分子ナノ多孔体を形成することに成功。
- 得られた高分子ナノ多孔体は、水中のオイル成分を効率的に吸収でき、高温にすると吸着したオイルを脱着します。このため、吸着材として繰り返して利用することができます。また、ガスの吸着特性にも優れており、ガス分離材料としても期待されています。
■ 有機薄膜太陽電池の界面構造制御により
−電圧向上と電流維持の両立に成功− 理化学研究所のm馬敬介 チームリーダーらは、有機薄膜太陽電池注内の界面構造を制御することで太陽電池の電流と電圧のトレードオフの関係を回避し、電流の低下を抑制して電圧を向上することに成功しました。
有機半導体の界面に薄い絶縁性のポリマー薄膜を挿入し、さらに絶縁層に少量の有機色素を添加(ドーピング)した結果、期待通りに太陽電池の電圧が向上し、さらに有機半導体から色素への励起エネルギーの移動によって、電流の低下を抑制できることを見いだしました。
電圧を0.1V(ボルト)上昇させ、変換効率も1.1〜1.2倍程度押し上げることが見込まれます。将来的には既存の有機薄膜太陽電池の限界効率を打ち破ることが期待されています。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20131022/index.html
◆イベント・セミナー等の紹介
■NECセミナー『ナノカーボン材料の応用と将来展望』
NECがカーボンナノチューブ、カーボンナノホーンを発見した飯島澄男NEC特別主席研究員による基調講演、ナノカーボン材料の研究員による講演を行います。
カーボンナノホーンを中心に、ナノカーボンの応用と将来展望など、幅広い視点でのナノカーボンの最新状況に関する情報が得られます。 ・日時:2013年12月13日(金)13:00〜16:30 ・会場:NEC本社ビル ・参加料 無料(事前登録制)
http://jpn.nec.com/embedded/products/cnh/cnhs2013.html
■第24回マイクロナノ先端技術交流会開催のご案内(12/3)
マイクロマシンセンターでは、MEMS産業の裾野を広げ、その発展を促進するために、マイクロナノイノベータ人材育成プログラム事業の一環として、マイクロナノ先端技術交流会を実施しています 今回は「3次元光加工、精密造形技術の最前線」をテーマに、同分野の最前線で活躍しておられます京都大学大学院 材料化学専攻の平尾一之教授と産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 基盤的加工研究グループ グループ長の岡根様をお招きし、先端的な研究開発状況について講演いただき、その後、同交流会が開催されます。 ・日時:平成25年12月3日(火)14:00〜16:50 (交流会17:00〜18:00) ・場所:一般財団法人マイクロマシンセンター・新テクノサロン 〒101-0026 東京都千代田区神田佐久間河岸67 MBR99ビル7階
http://www.nanomicro.biz/mems/2013/10/post-8956.html
■文部科学省 ナノテクノロジープラットフォーム事業 微細加工プラットフォーム事業
(1)第1回広島大学・山口大学・香川大学・FAIS合同シンポジウム
ナノテクプラットフォーム事業は、ナノテクノロジーに関わる16機関が、全国的なナノテクノロジーの研究基盤(プラットフォーム)を構築することにより、産学官による共同利用を促進し、問題解決への最短アプローチを提供し、産学官連携や異分野融合を推進することを目的としております。
このシンポジウムは中・四国地域の中核機関として、山口大学、香川大学と連携して広範囲な加工対象物の微細加工支援を行うものです。 ・広島大学は30nm以下のシリコンベース微細加工技術、超微細デバイス技術 ・山口大学はユニークな装置(真空性能評価装置、薄膜作製装置)を活用した ナノエレクトロニクス(非シリコン系) ・香川大学はN&MEMSの新規加工技術と先端デバイス開発・評価
さらにCMOS・MEMS試作支援を特徴とする公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS)の参加も得て、これまでの成果事例の報告が予定されています。 ・日時:2013年11月20日(水)10:30〜16:45 ・会場:広島大学霞キャンパス 広仁会館(広島県広島市南区霞1-2-3)
http://nsn.kyoto-u.ac.jp/topic/17.html
(2)京大、東大、東北大の3元中継『MEMS実践セミナー』
初めてMEMSを作りたい方から、制御回路を集積した高機能化を目指す方を対象とした基礎から応用までの一貫した講座となっています。微細加工プラットフォームが保有する加工装置を使ってどのようなMEMSができるかについて説明があります。
また、このセミナーへの参加をより充実した機会となるように、実際にMEMSデバイスを作る有料の実習コースも併設されています。 a)講義:12月17日(火)※下記会場で3元中継開催 東京大学 武田先端知ビル 東北大学 西澤潤一記念研究センター 京都大学 b)実習: 平成25年12月18日(水)〜平成26年3月にかけて、9機関にて行います。
http://nanoworld.jp/npf/training/h25mems/
(3)平成25年度 第1回セミナーin仙台 「最先端設備を共用して、地域イノベーションにつなげよう!」 ナノテクノロジープラットフォームのシステムを利用した研究成果や産業への展開の紹介があります。 ・基調講演:東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 教授/ マイクロシステム融合研究開発センター長 江刺正喜 氏 ・開催日時:平成25年11月12日(火)13:00〜18:30 ・開催場所:TKPガーデンシティ仙台21階 ホールA-2 ・参加申込締切:11月8日(金) セミナー:無料(定員150人) 交流会:会費制(3,000円)
http://www.jst.go.jp/pr/pdf/nanotech_event131112.pdf
nano2biz Magazine
◆OECDによる初めての国際成人力比較調査の結果
(10月8日発表)
24か国・地域において、16歳から65歳の成人・約15万7千人を対象に、読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力の3分野のスキルの習熟度の測定とともに、スキルと年齢、学歴、所得等との関連を調査した結果です。
1.読解力、数的思考力
例えば日本の単純作業の従事者の読解力は多くの国の事務職と同程度以上有しているなど、管理職に至る各階層で読解力、数的思考力の面では、世界トップクラスにあります。
2.ITを活用した問題解決能力
コンピュータによる調査に対応できない者の割合が36.8%とOECD平均の24.4%を大きく上回っているなど、コンピュータの活用度が低いようで24か国中の中位となっています。
3.賃金水準
日本とOECD平均の賃金を比べると、各階層ともワンランク低いようです。
4.以上を総括
日本の競争力は、OECD諸国の中でも優秀な人材が比較的低賃金で働くことで成り立っているということになります。アベノミクスの課題である賃金を上げるには、高い能力を活かせる高い付加価値創造への転換がキーということでしょう。さらに競争力を強化させるには、高年齢層を中心にしたコンピュータ教育となります。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/__icsFiles/afieldfile/2013/10/08/1287165_1_1.pdf
◆TPPに参加する背景は?
何故TPPに参加するのか、メリットは何なのか、政府もマスコミも多くは語ろうとしません。どうも、中国等の模倣大国に対する知財保護戦略が背景にありそうです。
http://www.nbci.jp/nano2biz/read_pdf/uma/uma20131031-1.pdf
◆景気回復見通しの日本、ドルで考えると不景気突入?
アベノミクスで景気回復見通しの日本ですが、ドルベースで国際比較すると不景気になりつつあると見ることもできます。
第3の矢「成長戦略」、企業等の収益向上、そして賃金上昇ということであれば、本格的な景気回復には時間が掛かるということでしょう。
http://www.nbci.jp/nano2biz/read_pdf/uma/uma20131031-2.pdf
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