第28号 2014/4/28(月)


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我が国でもベンチャー事業への取り組みや政府支援が拡大しています。
また、就職先としてベンチャーを選ぶ一流大学の学生、院生も増えつつあります。
グローバル化、新事業、新ビジネスモデル開発等で遅れを取る大企業に入社して埋もれるより、中小企業、ベンチャーで夢を追いかけ、実力を試したいという若い人が増えつつあるようです。

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nanobiz News
◆技術開発動向
太陽電池のエネルギー変換効率のカギは分子混合
〜有機太陽電池材料のナノ構造を解明〜

 筑波大学の守友浩教授らの研究グループは、バルクヘテロジャンクション型有機太陽電池の変換効率を最適化した試料のドメイン構造を、軟X線顕微鏡という新しい手法を使って調べ、それぞれのドメインで分子が混ざっていることを発見しました。つまり、界面はむしろ「汚い」ほうが電池としての性能が優れるということになります。
 この発見により、有機太陽電池のエネルギー変換機構が明らかになり、高効率な有機太陽電池の設計指針が得られると期待されます。

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2014/pr20140417/pr20140417.html


超極細ナノ炭素細線の画期的高効率合成法を開発
〜高効率太陽電池への応用に期待〜

 京都大学の坂口 浩司教授らの研究グループが、1nm以下の幅のグラフェンナノリボン(GNR)製の極細ナノ炭素細線を、従来に比べ飛躍的に高効率で合成する手法を開発したと発表しました。
GNRの幅とリボン端部を構成する炭素六角形格子を制御することにより望みの特性の半導体が得られ、シリコンに代わる次世代半導体材料として太陽電池や電子素子への応用が期待されている。
 研究グループは、GNRの合成収率が飛躍的に向上し、合成されるGNRの種類も大幅に増加することから、極細炭素細線の基礎物性理解・応用研究への展開が飛躍的に加速され、オール炭素デバイスの実現につながることを期待しています。

https://nanonet.go.jp/topics_ntj/?mode=article&article_no=2475
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2014/140408_1.htm


スプレーコーティングによるガスバリア性透明有機無機ハイブリッド薄膜の調整に成功

 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の高原 淳主任研究員らの研究グループが、無機平板状結晶集合体を厚み0.7nmの無機ナノシートに剥離するための簡便な手法を確立し、更に、無機ナノシートを混ぜたエポキシ樹脂分散液をスプレー塗布するという極めて簡易かつ省エネルギーな方法で、無機ナノシートが等間隔で積層した構造を持つ透明性の高い樹脂フィルムを作製したと発表しました。
スプレー塗布という簡単な工程により、透明性を維持したままで様々な材料のガスバリア性能を向上させることが可能になります。
同研究グループは、今後、食品や医薬品の包装材、自動車燃料タンクのコーティング、有機ELおよび太陽電池等への応用が期待されるという。

https://nanonet.go.jp/topics_ntj/?mode=article&article_no=2474
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2014/2014_04_04.pdf
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2014/140408


燃える炎の中で成長するカーボンナノチューブ(CNT)
〜量子理論計算によるCNTの成長と炭化水素の燃焼過程の類似性の解明〜

 名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所のStephan Irle教授らは、CNTの成長と炭化水素の燃焼プロセスに類似性があることをコンピューターシミュレーションによって見出したと発表しました。より早い計算方法を確立し、水素原子を計算に入れ、CNTの合成と炭化水素の燃焼過程の類似性を見出すことが出来たとのことです。
 今後は更に早い計算ツールを開発することで、CNTの合成や化石燃料の燃焼プロセスをより深く理解する可能性を模索したいとのことである。

https://nanonet.go.jp/topics_ntj/?mode=article&article_no=2472
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/
upload_images/20140409_wpi.pdf



高性能・省エネ型ナノファイバーフィルターを開発

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日本エアー・フィルター株式会社は、PM2.5などの粒子状物質を99.995%以上除去、消費電力を従来のフィルターに比べ25%削減が可能な集じんフィルターを開発したと発表しました。
 集じん装置においては、高性能捕集と大風量を処理するための動力・電力費の削減が求められており、この要求に応えて、前記のNEDOプロジェクトの成果を活用した高性能・省エネ型ナノファイバーフィルターが開発されたものです。
 ナノファイバー極細繊維の特長である高性能、低圧力損失などを差別化のポイントとして、試験販売を開始し、鉄鋼関連産業、焼却炉、他関連産業を含めて拡販、市場開拓を目指すとのことです。

https://nanonet.go.jp/topics_ntj/?mode=article&article_no=2471
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100259.html


ワンステップでカーボンナノチューブ薄膜の微細パターンを形成する技術を開発
〜透明導電膜やタッチパネルの省エネ・省資源製造につながる技術〜

 名古屋大学の大野 雄高准教授らがカーボンナノチューブ(CNT)薄膜の微細パターンを、ワンステップの転写プロセスにより10μm以下の解像度でプラスチック上に形成する技術を開発したと発表しました。
 透明導電膜はレアメタルのインジウムを含んだITO(酸化インジウムスズ)を使用しています。ITOに代わる材料としてCNT薄膜が期待されていますが、デバイスに利用するには用途に応じた形状にパターニングする必要があり、従来は煩雑なエッチングプロセスを用いるためコスト高の要因となっていました。
 CNTで作成した格子状パターンを用いることで、抵抗式タッチセンサーでトレードオフの関係にあるシート抵抗と光透過率の改善も可能になり、さらにこのCNTの簡易パターニング技術を応用して、モザイク状にパターニングされた2層の透明電極膜で構成される静電容量式タッチパネル(電極12×12)が試作され、その動作も確認されています。

https://nanonet.go.jp/topics_ntj/?mode=article&article_no=2469
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/
upload_images/20140402_eng.pdf



微小絶縁体粒子間の電位分布の解析に成功
〜レーザープリンターの高精細・省エネルギー化に寄与〜

 理化学研究所、東北大学および株式会社リコーの共同研究グループは、微小な絶縁体試料が帯電する様子を詳細に解析できるように「分離照射電子線ホログラフィー」を改良し、高精細・省エネルギープリンター開発の鍵になるトナー粒子とキャリア粒子間の電位分布の解析に成功しました。
 研究グループは、開発したSIEHを用いた解析により、トナー粒子とキャリア粒子の引き合うメカニズムが明らかになったことから、開発した技術は高精細・省エネルギーレーザープリンターの開発、更に、他の材料や電子デバイスにおける高精度電磁場計測への活用を期待しています。

https://nanonet.go.jp/topics_ntj/?mode=article&article_no=2468
http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140401_1/
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2014/04/press20140331-01.html
http://www.ricoh.com/ja/release/2014/0401_1.html


ジスプロシウムフリーネオジム磁石の開発
〜微細組織の制御で熱間加工磁石を高性能化〜

 物質・材料研究機構(NIMS)と科学技術振興機構(JST)は、NIMSの宝野 和博フェローらのグループが、希少金属のジスプロシウム(Dy)を一切使用せず、Dyを4%含む焼結磁石と同等の保磁力と同等以上の最大エネルギー積をもつネオジム磁石を実証したと発表しました。
 本研究は、磁石内部の微細組織の最適化によって、希少金属を使わなくても高い残留磁化と保磁力がネオジム磁石で得られることを示しました。今後、更に性能向上を進め、Dyフリー高性能磁石実用化を図るとのことです。

https://nanonet.go.jp/topics_ntj/?mode=article&article_no=2467
http://www.nims.go.jp/news/press/2014/03/p201403260.html
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140326/index.html


マルチフェロイック物質におけるスピン・ネマティック相互作用の観測
〜電場によりスピンが直接制御できる新しいデバイス材料〜

 東京大学の益田隆嗣准教授らの研究チームが、マルチフェロイック物質を用いて、スピン・ネマティック相互作用を実験的に観測することに、初めて成功しました。この研究の成果は、電場によりスピンを直接制御することができる新しいデバイス材料の実現に繋がるものであるとのことです。

https://nanonet.go.jp/topics_ntj/?mode=article&article_no=2466
http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/issp_wms/DATA/OPTION/release20140326.pdf



◆イベント・セミナー等の紹介
日本を元気にする産業技術会議シンポジウム「ナノカーボン材料が創る新しい社会」

 ナノカーボン素材が、20年にわたる基礎研究の末に、透明導電性フィルムなどでいよいよ本格的に実用化されます。
 本シンポジウムでは、2〜3年後に市場に出る炭素素材や、用途を紹介するとともに、現状の技術開発、世界動向を俯瞰し、将来の軽量で超高強度の炭素素材が、金属、高分子、セラミックスに次ぐ、産業の基幹材料になる世界像を描き出し、ビジネスへの展望を示します。

開催概要
 主催:産業技術総合研究所/日本を元気にする産業技術会議
 日時:2014年5月19日月曜日 13時00分〜17時30分
 会場:イイノホール 東京都千代田区内幸町2-1-1
 参加費:無料
 申込方法:オンライン登録
 問い合わせ先:産業技術総合研究所 ナノチューブ応用研究センター
 電話:029-861-4551 
 https://unit.aist.go.jp/ntrc/ci/event/2014.05.19event/giyou_sympo2014.05.19.html


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◆【連載!神田のカルチェラタン】

「ベンチャー・起業についての一考察」

 
4月16日東京で開催された新エネルギー・産業技術総合開発機構の大学発ベンチャー、メーカー技術者・研究者の起業支援セミナーに参加してきました。その内容・結果をベースにベンチャー・起業について整理・検討してみましたのでご紹介させていただきます。

 ※中身の濃い5時間のセミナーの内容を図式化することで2枚にまとめました。
   つきましては、お手数ですが図を見ながらお読みくださるようお願いします。

http://www.nbci.jp/nano2biz/read_pdf/uma/uma20140428-1.pdf

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