43号 2014/12/17(水

メルマガ nano2biz 第43号をお届けします。

 「ご破算で願いましては」
この言葉を忘れていた方、長い事聞いたことが無い方が多くなっていると思います。

 改めて説明しますと、算盤で計算を開始する時に使うフレーズですが、転じて「今までのことは無かったことにして、これから新たに始めますよ」という形で使われます。

 衆院選挙を終えたばかりで恐縮ですが、利権や格差等が絡まり、おまつり状態の政治・経済も「ご破算に願いましては」と一からやり直せないものかと、つい考えてしまいます。


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nanobiz News
◆技術開発動向
炭素繊維の次、原料は木材

<概要>
 
ポスト炭素繊維と期待されるセルロースナノファイバーは木材を原料とし、炭素繊維と同等の鋼鉄の5倍の強度を出せ、製造コストは炭素繊維の6分の1ですむとされています。
(日本経済新聞2014.12.11 2面)


光化学系II複合体の正確な三次元原子構造を解明
〜人工光合成開発への糸口に〜

<概要>
 岡山大学大学院自然科学科の沈建仁教授らと理研放射光科学研究センター利用システム開発研究部門の山本雅貴部長らの研究グループが、X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAを用いて、光合成による水分解反応を触媒する光化学系II複合体の構造を0.195nmの分解能で正確に突き止め、今後、光合成における水分解反応機構の解明に繋がる成果であると発表しました。
<今後の展開>
 研究グループは、太陽の光エネルギーを利用した水分解反応を人工的に実現するための触媒の構造基盤を提供できたとして、今後、「人工光合成」の実現により、光エネルギーを高効率で電気エネルギーや化学エネルギーに変換できるようになることを期待しています。

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id251.html
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2014/141127/


一本のカーボンナノチューブとフォトニック結晶の高効率光結合
〜微小な光デバイスへの応用に期待〜

<概要>
 
東京大学大学院工学系研究科の加藤雄一郎准教授らの研究グループが一本の単層カーボンナノチューブから発生した光を推定効率85%以上でフォトニック結晶構造中に伝搬させることに成功したと発表しました。
<今後の展開>
 この技術は原子一層からなる材料を利用したレーザーなど微小な光デバイスへの応用が考えられ、光回路の微細化や新しい機能を持った光デバイスの開発に貢献することが期待できるとしています。
 今回の成果は、ナノメートル程度の大きさのレーザーなどの光デバイス実現に向けた重要な第一歩で、光集積回路の微細化に貢献する可能性があります。また、CNTの光電変換機能と本成果を融合させた高効率太陽電池への応用も期待されています。将来的には、CNT特有のスピンや量子物性を利用することにより、新しい機能を持った光デバイスの開発が期待されるとしています。
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/epage/release/2014/2014112601.html


「重ね塗り」で有機薄膜太陽電池を高性能化
〜光を当てると固まる材料使い、有効性を実証〜

<概要>

 奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科の山田容子 教授らと山形大学大学院理工学研究科の中山健一 准教授らが、有機薄膜太陽電池の半導体活性層に塗布法でp-i-n接合構造を作成できる新しい材料を開発し、太陽電池として動作することを実証したと発表しました。
今後の展開
 研究により、加熱を必要としない温和な条件で有機半導体の積層成膜が可能となり、耐熱性の低いプラスチック材料に高性能な有機薄膜太陽電池を直接作成することも可能となりました。この技術は、塗布型の有機FET、有機EL、潜在性発光材料などへの展開も期待されています。
http://www.naist.jp/pressrelease/detail_j/topics/1893/
http://www.yamagata-u.ac.jp/jpn/yu/modules/bulletin4/article.php?storyid=24


アモルファス合金ナノワイヤーの磁気センシング
〜ナノサイズの磁気センサー開発〜

<概要>
 東北大学原子分子材料科学高等研究機構の中山幸仁准教授の研究グループは、東北大学金属材料研究所の横山嘉彦准教授らとの共同研究により、ガスアトマイズ法を用いて、磁化されやすい軟磁性の特性をもつアモルファス合金(金属ガラス)から、直径がナノメートルスケールのナノワイヤーを安価に生産し、これを用いてプロトタイプの磁気センサー素子を作製することに成功したと発表されました。
今後の展開
 今後は更に高い磁気検出能が得られるような合金の探索や、そのナノワイヤー化を進めると共に、磁気マッピングが得られるよう素子の高密度化を試みるという.また、生体磁気計測を視野に入れた研究を進め、これが実現すれば安価な心磁、脳磁計測機器の発展が期待されています。

http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2014/11/press20141119-02.html
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/info/top/141119-8.html



分子のカゴで毒を薬
〜癌の簡便な治療薬の開発につながる成果〜

<概要>
 東京工業大学大学院生命理工学研究科 上野 隆史教授らが、カゴ状のタンパク質に一酸化炭素(CO)を閉じ込めてガン細胞に送り込み、ガン細胞の転写因子タンパク質の活性を制御することに成功したと発表しました。
<今後の展開>
 ドーピングによるpn制御技術は半導体デバイスの設計・作製の基本であり、今回のドーピング効率100%を達成した技術が有機半導体エレクトロニクスという新分野・産業の創造に繋がることが期待されます。
http://www.titech.ac.jp/news/2014/029198.html


有機半導体のドーピング効率を100%にできる「ドーピング増感効果」を発見
〜高性能有機太陽電池や有機デバイス実現の基礎技術を確立〜

<概要>
 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所は2014年11月18日、同所 平本昌宏教授らの研究グループが、有機半導体に不純物を極微量加えて導電型をn型、p型に制御するドーピング操作の効率を100%にすることに成功したと発表しました。
今後の展開
 ドーピングによるpn制御技術は半導体デバイスの設計・作製の基本であり、今回のドーピング効率100%を達成した技術が有機半導体エレクトロニクスという新分野・産業の創造に繋がることが期待されます。
https://www.ims.ac.jp/news/2014/11/18_3048.html



カーボンナノチューブ中に酸素分子による磁性ナノワイヤーを作製
〜強磁性を使ってハルデン磁性体を実証〜

<概要>
 大阪大学大学院理学研究科附属先端強磁場科学研究センター 萩原政幸教授、首都大学東京大学院理工学研究科 真庭豊教授らの研究チームが、単層カーボンナノチューブを用いて、酸素分子による新しい量子磁性体(ハルデン磁性体)の作製と実験的検証に成功したと発表しました。
<今後の展開>
 本研究は、使用するSWCNTの太さや封じ込める分子や原子を選ぶことにより量子スピン系と呼ばれる分野の基礎となり、また新たなスピントロニクスの材料の開発に繋がることが期待されます。

http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2014/20141113_1
http://www.tmu.ac.jp/news/topics/8290.html


世界最小熱伝導率の結晶シリコン材料の実現
〜革新的廃熱発電にむけた熱電変換材料へ〜

<概要>
 
大阪大学 大学院基礎工学研究科の中村芳明准教授らは、極小なナノドットをそろえて連結した材料を形成する技術を開発しました。安価で環境に調和した高性能の熱電変換材料が必要とされている中、本技術によって、ありふれた元素であるシリコン(Si)のナノドット結晶を用いて、熱伝導率を巨視的なサイズの結晶Siの約1/200に低減することに成功しました。
<今後の展開>
 パソコンなどから排出される低温度廃熱を、電気エネルギーとして再利用する熱電変換素子と電子素子を同時に組み込んだ材料の開発が期待されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20141210/index.html



磁気の流れ(スピン流)の増大原理を初めて解明
〜電子スピンを利用した省エネルギーデバイスの実現に一歩前進〜

<概要>
 慶應義塾大学 理工学部の安藤和也専任講師らは、磁気の流れ「スピン流」の増大原理を世界で初めて明らかにしました。
従来の電子デバイスの限界を突破する次世代省エネルギー電子技術の担い手として、磁気の流れ(スピン流)に関する研究が世界規模で進められてきましたが、今回の研究によりスピン流の増大原理が初めて解明されました。
<今後の展開>
 本研究により初めて明らかになったスピン流とマグノンの寿命の関係は、スピン流に基づく電子デバイス設計に基本的な指針を与えるものです。スピン流利用技術の拡充により、従来の素子が抱えていた発熱によるエネルギーロスの問題を根本的に解決した新しい時代の電子技術と省エネルギー社会の実現に大きく貢献することが期待されます。

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20141209/index.html


貴金属触媒を使わない水素発生電極の開発
〜多孔質グラフェンで、水素を低コストで大量に発生〜

<概要>
 
JST 戦略的創造研究推進事業の一環として、東北大学 原子分子材料科学高等研究機構の伊藤良一助教、陳明偉教授らは、3次元構造を持つグラフェンによる高性能な水素発生電極を開発しました。
次世代エネルギー媒体として注目される水素の発生電極には高価な白金に代えて、窒素と硫黄を導入した3次元ナノ多孔質グラフェンを水素発生電極に使用し、白金代替のニッケルと同等の水素発生を実証しました。
<今後の展開>
 今後は、実用的な水素発生電極を作製するために少量のニッケルを添加し白金を越える水素発生能力を持つニッケル添加3次元ナノ多孔質グラフェンの開発やリチウム二次電池の電極材料としての研究を進めていく予定です。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20141209-2/index.html



巨大分子の第一原理シミュレーションの実現
〜従来に比べ2桁以上大きな原子数を扱える大規模計算〜

<概要>
 NIMS先端的共通技術部門の宮崎剛グループリーダーと英国University College London, London Centre for NanotechnologyのDr. David Bowler(NIMS-MANA併任)からなる研究チームは、従来に比べ2桁以上多くの原子数を扱える大規模な第一原理シミュレーション手法の開発に成功しました。これにより、これまで不可能だった生体分子やナノ構造物質などの複雑な物質に対する原子・電子シミュレーションが可能となりました。
<今後の展開>
 研究グループは、本研究手法による大規模シミュレーション手法を用い、従来の方法では計算不可能であった巨大生体分子やナノ構造物質の原子・電子の振る舞い、複雑な界面における欠陥や不純物の制御方法等を理論研究で明らかにしていくことを目指しています。これらの研究は今後、創薬や次世代デバイスの開発に役立つ事が期待されます。

http://www.nims.go.jp/news/press/2014/12/201412080.html

◆イベント・セミナー等の紹介
【nano tech 2015】第14回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議

開催概要
 日時:2014年1月28日(水)〜30日(金)10:00〜17:00
 会場:東京ビッグサイト 東4・5・6ホール&会議棟
 展示会入場料:3,000円(Webサイトで事前登録された方は無料)
 ビジネスマッチング参加料:15,000円
 
ホームページ http://www.nanotechexpo.jp/main/
 
来場事前登録 https://ics-event.smktg.jp/public/application/add/192?lang=ja
 
出展者情報 http://nanotech2015.icsbizmatch.jp/Info/jp/


【JAPAN NANO 2015】第13回ナノテクノロジー総合シンポジウム
〜ナノテクによる材料革新 −設計・創る・測るがイノベーションを生む− 〜

開催概要
 日時:
2015年1月30日(金) 10:00〜17:15
 会場:東京ビッグサイト 会議棟レセプションホール
 参加費:無料、要申込み
 申込方法、プログラム等:
http://nanonet.mext.go.jp/japannano/2015/
 参加申込
https://www.evt-reg.jp/reg3/Usr/form/Usr_entry.php?form_id=42
 事前申込締切:
1月27日(火)


産業技術総合研究所『ナノ光応用分析実践セミナー』

 申込開始は
12月17日から、
 人気のあるセミナーですので、ご興味のある方は、お早めにお申込みください。

 (講義)
  日時:平成27年1月26日(月)
  場所:産業技術総合研究所 中央第2-12棟第6会議室
 (実習)
  日時:平成27年1月27日(火)〜28日(水)
  場所:産業技術総合研究所 ナノプロセッシング施設
 (お問合せ・詳細)
  詳細は以下のURLのとおりです。
  https://nanoworld.jp/npf/training/h26-5/


先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業

 高エネルギー加速器研究機構では産業利用のトライアルユース課題を募集しています。
この事業は、フォトンファクトリー(PF;高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設)の放射光を用いた材料評価・解析技術(XAFS、蛍光X線分析、イメージング、トポグラフィー等)を産業界の研究開発に活用していただくことを目的としています。

【課題募集】KEKフォトンファクトリーの産業利用課題の募集
 (〆切:平成27年1月19日(月)午後5時)
 特にこれまで放射光利用に馴染みがなかった企業の方にも容易に利用していただけるよう、専任のスタッフが研究計画の策定、実験操作、データ解析・解釈等のお手伝いをします。これらの支援や研究施設の利用に関し、利用者の費用負担はありません。

詳細は以下のURLのとおりです。
  http://tia-nano.jp/events/2014/1202.html


つくばサイエンス・アカデミー「テクノロジー・ショーケース2015」を開催

 つくばの主要な研究機関と連携し、研究者・技術者が研究成果を相互に披露するとともに、最先端の研究成果を全国へ向けて発信します。

【内容】
 様々な分野からの100を超える研究成果等に係るポスター発表や、観る・知る・護るテーマとした講演、ミニシンポジウムなどを実施します。
【問い合せ等】
 お問合せ先:(一財)茨城県科学技術振興財団
 つくばサイエンス・アカデミー事務局
          http://www.science-academy.jp/showcase2015.shtml
          TEL:029-861-1206 FAX:029-861-1209
          Email:academy@epochal.or.jp


■平成27年度「大阪大学のナノテク社会人教育プログラム」の受講生募集案内

 比較的若手の研究者や技術者が幅広く学際的にナノテク分野の高度な知識と経験を積み、将来の新しいナノテク関連産業を自ら切り開く能力を身につけて戴く事を目的としています。

<プログラム内容>
 ナノテク教育を6つの分野(計算科学、材料・エレクトロニクス、超分子・バイオ、構造・機能解析、エネルギー・環境、ナノ機能化学)に体系化し、各分野は1年間を通して毎週1回夜間(午後6時〜9時)に開講する講義(1回3時間で年間30回)と、9月または2月に学内で実施の短期集中実習(3日〜5日間)とから成っています。

<受講の場所>
 講義は、大阪市内の大阪大学中之島センターで実施しますが、東京、四日市、京阪奈など全国10数カ所のサテライト教室へのライブ配信による遠隔授業でも受講できます。
<履修認定等> 
 所定の教育レベルに達した方には、履修認定証、大学院博士前期課程単位を付与。
<詳細>
 以下のホームページを参照ください。
 「ナノテク社会人教育プログラム」:
http://www.sigma.es.osaka-u.ac.jp/pub/nano/


「一般社団法人大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム」企業会員募集

 上記の「阪大・ナノテク社会人教育プログラム」を支援し、ナノ理工学分野の最先端科学技術を支える高度な人材の育成を産学が一体となり推し進めるために設立しています(平成26年度は24社が参加)。

<内容>
 このコンソーシアムでは、教育支援だけでなく、年間数回のナノ理工学情報交流会やセミナーも開催しています。これらを通じて会員企業の研究開発全般に関する技術相談・技術支援の推進も行っています。
【募集】
 平成27年1月26日から、平成27年度の「ナノテク社会人教育プログラム」の履修生、および「人材育成産学コンソーシアム」の企業会員を募集します。
 
<詳細>
 以下のホームページを参照ください。

 「ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム」
http://www.nanoscience.or.jp/



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◆今、アメリカは・・・

 「嫌中」、「嫌韓」の本がブームになっていますが、知っているつもりで実は知らなかった国は中国、韓国だけではなかったようです。
今のアメリカを理解する上で参考になると思われる本を一冊、紹介させていただきます。

 増田 悦佐 『夢の国から悪夢の国へ〜 40年間続いたアメリカン・バブルの大崩壊』
 東洋経済新報社2014/5/29

<概略>
 戦後、「自由」「民主主義」「豊かさ」等、ほぼすべての面で日本人のあこがれの国だったアメリカが変わってしまっています。
 著者は、1974年の個人退職年金法改正を経済金融化の分水嶺として捉え、(1)貧困の構造化、(2)大企業・官僚機構の利権の横行、(3)「自由の仮想現実化」(プロパガンダ)、(4)「持続不能になったクルマ社会」の酷い実態を豊富なデータを通して表やグラフで実証されています。
 そして40年の時を経て、不平等、格差拡大、大多数の国民の貧困化の進展により、いよいよ「夢の国・アメリカ」という虚構(バブル)も崩壊寸前になっているとして、今なお、アメリカをお手本として政治経済の運営を進めつつある日本に警鐘を鳴らしています。

 日本の将来は、是々非々で日本独自の道を探る必要があります。

   

 

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