■炭素繊維の次、原料は木材
<概要>
ポスト炭素繊維と期待されるセルロースナノファイバーは木材を原料とし、炭素繊維と同等の鋼鉄の5倍の強度を出せ、製造コストは炭素繊維の6分の1ですむとされています。
(日本経済新聞2014.12.11 2面)
■光化学系II複合体の正確な三次元原子構造を解明
〜人工光合成開発への糸口に〜
<概要>
岡山大学大学院自然科学科の沈建仁教授らと理研放射光科学研究センター利用システム開発研究部門の山本雅貴部長らの研究グループが、X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAを用いて、光合成による水分解反応を触媒する光化学系II複合体の構造を0.195nmの分解能で正確に突き止め、今後、光合成における水分解反応機構の解明に繋がる成果であると発表しました。
<今後の展開>
研究グループは、太陽の光エネルギーを利用した水分解反応を人工的に実現するための触媒の構造基盤を提供できたとして、今後、「人工光合成」の実現により、光エネルギーを高効率で電気エネルギーや化学エネルギーに変換できるようになることを期待しています。
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id251.html
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2014/141127/
■一本のカーボンナノチューブとフォトニック結晶の高効率光結合
〜微小な光デバイスへの応用に期待〜
<概要>
東京大学大学院工学系研究科の加藤雄一郎准教授らの研究グループが一本の単層カーボンナノチューブから発生した光を推定効率85%以上でフォトニック結晶構造中に伝搬させることに成功したと発表しました。
<今後の展開>
この技術は原子一層からなる材料を利用したレーザーなど微小な光デバイスへの応用が考えられ、光回路の微細化や新しい機能を持った光デバイスの開発に貢献することが期待できるとしています。
今回の成果は、ナノメートル程度の大きさのレーザーなどの光デバイス実現に向けた重要な第一歩で、光集積回路の微細化に貢献する可能性があります。また、CNTの光電変換機能と本成果を融合させた高効率太陽電池への応用も期待されています。将来的には、CNT特有のスピンや量子物性を利用することにより、新しい機能を持った光デバイスの開発が期待されるとしています。
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/epage/release/2014/2014112601.html
■「重ね塗り」で有機薄膜太陽電池を高性能化
〜光を当てると固まる材料使い、有効性を実証〜
<概要>
奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科の山田容子 教授らと山形大学大学院理工学研究科の中山健一 准教授らが、有機薄膜太陽電池の半導体活性層に塗布法でp-i-n接合構造を作成できる新しい材料を開発し、太陽電池として動作することを実証したと発表しました。
<今後の展開>
研究により、加熱を必要としない温和な条件で有機半導体の積層成膜が可能となり、耐熱性の低いプラスチック材料に高性能な有機薄膜太陽電池を直接作成することも可能となりました。この技術は、塗布型の有機FET、有機EL、潜在性発光材料などへの展開も期待されています。
http://www.naist.jp/pressrelease/detail_j/topics/1893/
http://www.yamagata-u.ac.jp/jpn/yu/modules/bulletin4/article.php?storyid=24
■アモルファス合金ナノワイヤーの磁気センシング
〜ナノサイズの磁気センサー開発〜
<概要>
東北大学原子分子材料科学高等研究機構の中山幸仁准教授の研究グループは、東北大学金属材料研究所の横山嘉彦准教授らとの共同研究により、ガスアトマイズ法を用いて、磁化されやすい軟磁性の特性をもつアモルファス合金(金属ガラス)から、直径がナノメートルスケールのナノワイヤーを安価に生産し、これを用いてプロトタイプの磁気センサー素子を作製することに成功したと発表されました。
<今後の展開>
今後は更に高い磁気検出能が得られるような合金の探索や、そのナノワイヤー化を進めると共に、磁気マッピングが得られるよう素子の高密度化を試みるという.また、生体磁気計測を視野に入れた研究を進め、これが実現すれば安価な心磁、脳磁計測機器の発展が期待されています。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2014/11/press20141119-02.html
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/info/top/141119-8.html
■分子のカゴで毒を薬
〜癌の簡便な治療薬の開発につながる成果〜
<概要>
東京工業大学大学院生命理工学研究科 上野 隆史教授らが、カゴ状のタンパク質に一酸化炭素(CO)を閉じ込めてガン細胞に送り込み、ガン細胞の転写因子タンパク質の活性を制御することに成功したと発表しました。
<今後の展開>
ドーピングによるpn制御技術は半導体デバイスの設計・作製の基本であり、今回のドーピング効率100%を達成した技術が有機半導体エレクトロニクスという新分野・産業の創造に繋がることが期待されます。
http://www.titech.ac.jp/news/2014/029198.html
■有機半導体のドーピング効率を100%にできる「ドーピング増感効果」を発見
〜高性能有機太陽電池や有機デバイス実現の基礎技術を確立〜
<概要>
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所は2014年11月18日、同所 平本昌宏教授らの研究グループが、有機半導体に不純物を極微量加えて導電型をn型、p型に制御するドーピング操作の効率を100%にすることに成功したと発表しました。
<今後の展開>
ドーピングによるpn制御技術は半導体デバイスの設計・作製の基本であり、今回のドーピング効率100%を達成した技術が有機半導体エレクトロニクスという新分野・産業の創造に繋がることが期待されます。
https://www.ims.ac.jp/news/2014/11/18_3048.html
■カーボンナノチューブ中に酸素分子による磁性ナノワイヤーを作製
〜強磁性を使ってハルデン磁性体を実証〜
<概要>
大阪大学大学院理学研究科附属先端強磁場科学研究センター 萩原政幸教授、首都大学東京大学院理工学研究科 真庭豊教授らの研究チームが、単層カーボンナノチューブを用いて、酸素分子による新しい量子磁性体(ハルデン磁性体)の作製と実験的検証に成功したと発表しました。
<今後の展開>
本研究は、使用するSWCNTの太さや封じ込める分子や原子を選ぶことにより量子スピン系と呼ばれる分野の基礎となり、また新たなスピントロニクスの材料の開発に繋がることが期待されます。
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2014/20141113_1
http://www.tmu.ac.jp/news/topics/8290.html
■世界最小熱伝導率の結晶シリコン材料の実現
〜革新的廃熱発電にむけた熱電変換材料へ〜
<概要>
大阪大学 大学院基礎工学研究科の中村芳明准教授らは、極小なナノドットをそろえて連結した材料を形成する技術を開発しました。安価で環境に調和した高性能の熱電変換材料が必要とされている中、本技術によって、ありふれた元素であるシリコン(Si)のナノドット結晶を用いて、熱伝導率を巨視的なサイズの結晶Siの約1/200に低減することに成功しました。
<今後の展開>
パソコンなどから排出される低温度廃熱を、電気エネルギーとして再利用する熱電変換素子と電子素子を同時に組み込んだ材料の開発が期待されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20141210/index.html
■磁気の流れ(スピン流)の増大原理を初めて解明
〜電子スピンを利用した省エネルギーデバイスの実現に一歩前進〜
<概要>
慶應義塾大学 理工学部の安藤和也専任講師らは、磁気の流れ「スピン流」の増大原理を世界で初めて明らかにしました。
従来の電子デバイスの限界を突破する次世代省エネルギー電子技術の担い手として、磁気の流れ(スピン流)に関する研究が世界規模で進められてきましたが、今回の研究によりスピン流の増大原理が初めて解明されました。
<今後の展開>
本研究により初めて明らかになったスピン流とマグノンの寿命の関係は、スピン流に基づく電子デバイス設計に基本的な指針を与えるものです。スピン流利用技術の拡充により、従来の素子が抱えていた発熱によるエネルギーロスの問題を根本的に解決した新しい時代の電子技術と省エネルギー社会の実現に大きく貢献することが期待されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20141209/index.html
■貴金属触媒を使わない水素発生電極の開発
〜多孔質グラフェンで、水素を低コストで大量に発生〜
<概要>
JST 戦略的創造研究推進事業の一環として、東北大学 原子分子材料科学高等研究機構の伊藤良一助教、陳明偉教授らは、3次元構造を持つグラフェンによる高性能な水素発生電極を開発しました。
次世代エネルギー媒体として注目される水素の発生電極には高価な白金に代えて、窒素と硫黄を導入した3次元ナノ多孔質グラフェンを水素発生電極に使用し、白金代替のニッケルと同等の水素発生を実証しました。
<今後の展開>
今後は、実用的な水素発生電極を作製するために少量のニッケルを添加し白金を越える水素発生能力を持つニッケル添加3次元ナノ多孔質グラフェンの開発やリチウム二次電池の電極材料としての研究を進めていく予定です。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20141209-2/index.html
■巨大分子の第一原理シミュレーションの実現
〜従来に比べ2桁以上大きな原子数を扱える大規模計算〜
<概要>
NIMS先端的共通技術部門の宮崎剛グループリーダーと英国University College London, London Centre for
NanotechnologyのDr. David Bowler(NIMS-MANA併任)からなる研究チームは、従来に比べ2桁以上多くの原子数を扱える大規模な第一原理シミュレーション手法の開発に成功しました。これにより、これまで不可能だった生体分子やナノ構造物質などの複雑な物質に対する原子・電子シミュレーションが可能となりました。
<今後の展開>
研究グループは、本研究手法による大規模シミュレーション手法を用い、従来の方法では計算不可能であった巨大生体分子やナノ構造物質の原子・電子の振る舞い、複雑な界面における欠陥や不純物の制御方法等を理論研究で明らかにしていくことを目指しています。これらの研究は今後、創薬や次世代デバイスの開発に役立つ事が期待されます。
http://www.nims.go.jp/news/press/2014/12/201412080.html