45号 2015/1/20(火

メルマガ nano2biz 第45号をお届けします。

最近のテレビニュースで中国等の旅行者が空港で山の様な土産を持って帰ろうとしている姿が繰り返し放映されます。なんだか、円安で日本全体がバーゲンセールで安売りされているようで気が滅入ってきます。

国が笛を吹いても、供給能力過多の日本の設備投資は低調だから、最新の製造機械や特許なども安く海外に売られているのだろうなと考えてしまいます。さらに、都心の高額マンション、対馬や沖縄、北海道、加えて日本各地の森林や貴重な水源なども外国人の購入が増えていると聞くにつけ、日本はどうなってしまうのか心穏やかではありません。

増えない輸出と輸入物価の上昇による貿易収支の悪化等々、現状は行き過ぎた円安なのかもしれません。


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nanobiz News
◆技術開発動向
表面酸化反応への酸素分子スピンの影響を初めて観測
〜分子磁性と表面反応の相関の理解に貢献〜

<概要>
 NIMS極限計測ユニットの倉橋光紀主席研究員と山内泰グループリーダーは、電子スピンの向きを制御した独自開発の酸素分子ビームを用い、物質表面への酸素吸着確率が酸素分子のスピンの向きに依存することを初めて明らかにしました。
<今後の展開>
  本研究は、表面酸化反応をスピンにまで分解して分析する新しい計測手法を確立するものです。また、観測された明瞭なスピン効果は、酸素吸着を扱う理論手法の高精度化に有益な指針も提供すると考えられます。

http://www.nims.go.jp/news/press/01/201501090.html


ナノシート間の静電反発力により、構造補強されたヒドロゲル材料
〜層に垂直方向の荷重に耐え、水平方向に変形。防振材料などへの応用に期待〜

<概要>
 理研の相田卓三氏、石田康博氏とNIMSの佐々木高義フェローらの共同研究グループは、互いに静電反発する酸化物ナノシートを磁場に対して垂直な方向に配列し、三次元のナノ網目構造を水で膨潤させたゼリー状物質「ヒドロゲル」中に閉じ込めることにより、ユニークな機械的物性が現れる材料の開発に成功しました。
今後の展開
 防振材料などへの応用が期待されています。
http://www.nims.go.jp/news/press/2014/12/201412300.html


1原子分の厚さのグラフェンで摩擦・摩耗と戦う(米国)
〜従来よりも幅広い環境で機能する耐摩耗性が非常に高い新たな物質が確認〜

<概要>
 米国エネルギー省アルゴンヌ国立研究所のナノスケール材料センターおよび同エネルギーシステム部門のAnirudha Sumant氏らは、炭素の二次元形状であるグラフェンの1原子分の厚さの層を鋼球と鋼板の間に置いて、そのわずか1層のグラフェンが、6,500回を超える「摩耗サイクル(wear cycle)」に耐えることを発見しました。
<今後の展開>
 グラファイト(黒鉛)や二硫化モリブデン等の従来の潤滑剤と比べると、飛躍的な優位にあることから、今後の展開が期待されています。

http://www.nedo.go.jp/content/100582723.pdf


ナノシート間の静電反発力により,構造補強されたヒドロゲル材料
〜層に垂直方向の荷重に耐え,水平方向に変形.防振材料などへの応用に期待〜

<概要>
 
理化学研究所創発物性科学研究センター 相田卓三 グループディレクターと物質・材料研究機構の佐々木高義 フェローらの共同研究グループが、互いに静電反発する酸化物ナノシートを磁場に対して垂直な方向に配列して三次元のナノ網目構造を水で膨潤させたゼリー状物質「ヒドロゲル」中に閉じ込めることにより、縦方向の大きな荷重に耐え、かつ横方向には容易に変形するという機械的異方物性を現す材料を開発したと発表しました。
<今後の展開>
 本研究で開発された機械的異方性を有するヒドロゲル材料は、振動遮断や軟骨代替などさまざま応用が期待でき、研究グループでは、今後、「反発力」を利用した材料設計が進むと期待しています。
http://www.riken.jp/pr/press/2014/20141230_1/
http://www.nims.go.jp/news/press/2014/12/201412300.html


J-PARCがもたらす新たな元素分析法
〜大強度パルス中性子による迅速・高精度分析〜

<概要>
 
日本原子力研究開発機構原子力基礎工学センターの藤 暢輔研究主幹らと首都大学東京 大学院理工学研究科の海老原 充教授が、大強度陽子加速器施設(Japan Proton Accelerator Research Complex: J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)で得られる世界最高強度のパルス中性子を用いることにより、2つの非破壊元素分析法を融合した新しい分析法の開発に成功したと発表しました。
今後の展開
 研究グループは、原子力分野に限らず、宇宙化学、考古学、地質学、環境などの分野の試料の分析に有効と考えており、今後、非常に多くの元素を含み、非破壊元素分析が望まれる試料の分析に適用され、その情報をもとにした原子力や宇宙化学などの分野における研究の進展が期待されるとしています。
http://www.jaea.go.jp/02/press2014/p14122202/
http://www.tmu.ac.jp/news/topics/8415.html


シリセンの基盤電子構造解明
〜グラフェンを越えるシリセンの新機能開拓に道〜

<概要>
 東北大学原子分子材料科学高等研究機構の高橋 隆 教授らと、豊田中央研究所の中野秀之 主任研究員らの研究グループと共同で、グラフェンを越えると期待されている新材料シリセンの層間化合物CaSi2を合成し、その電子状態の解明に成功してシリセンが見かけ上の質量がゼロとなる電子状態を持つことが明らかになったと発表した。
注:シリセンは、シリコン(Si)が蜂巣格子状に組んで形成した一枚の原子シートで、炭素からなる原子シートのグラフェンと同様な2次元材料です。
今後の展開
 研究グループは今後、CaSi2に対して、Ca原子の相対数を変化させて電子の数を調整し、またCaを他の元素に置換することでディラック・コーン電子状態を制御して、半導体デバイス構築へ向けた材料設計を進めるとしています。また、半導体基板上に分子線エピタキシー法でCaSi2超薄膜を作成し、そのシリセン原子シート中のディラック・コーン電子を利用する超高速電子デバイスへの応用展開を期待しているとのことです。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2014/12/press20141222-03.html


目盛り誤差1ナノメートル以下のリニアエンコーダーを実現
〜半導体素子や光学素子の加工精度の向上に貢献〜

<概要>
 産業技術総合研究所計測標準研究部門長さ計測科 ナノスケール標準研究室 堀 泰明 主任研究員らと株式会社ニコンは共同で、リニアエンコーダー(高精度加工機械などに組み込まれる「ものさし」)の高精度化に取り組み、ナノメートル(nm、1 mmの百万分の1)以下の誤差の目盛を実現しました。
今後の展開
 今後、半導体素子や光学素子の加工精度の向上への貢献が期待されています。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2014/pr20141110/pr20141110.html


未来の磁気メモリー材料開発につながる新たな電気分極成分を発見

<概要>
 東京大学物性研究所の徳永将史 准教授らの研究グループは、産業技術総合研究所、福岡大学、上智大学、青山学院大学と協力して、ビスマスフェライトという物質において磁場で制御できる新たな電気分極成分を発見し、この新しい成分が室温で示す不揮発性メモリー効果を観測しました。また、ビスマスフェライトにおいてこれまで見つかっていなかった上記の性質を、瞬間的に発生可能な世界屈指のパルス強磁場を用いた精密実験で初めて明らかにしました。
今後の展開
 磁場で電気分極成分を制御できる性質は、消費電力が少なく磁石を近づけても情報が消えない磁気メモリー材料といった応用技術の発展につながると期待されます。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20150113/pr20150113.html


付着を防止する表面処理技術
〜粘性液体の付着抑制や氷の付着力を低減〜

<概要>
 産業技術総合研究所サステナブルマテリアル研究部門高耐久性材料研究グループ 穂積 篤 研究グループ長、浦田 千尋 研究員は、各種粘性液体や氷の付着を大幅に抑制できる表面処理技術を開発しました。
今後の展開
 今回開発した表面処理技術により、 さまざまな粘性液体の付着の抑制や氷の付着力を低減できるため、包装容器、金型、船底、取水口、建材など、粘性液体や氷が付着しやすい固体表面への使用が期待できる。意匠性の維持、コスト削減、エネルギー消費の削減、メンテナンスの簡易化、安全・信頼性の向上が期待される。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2014/pr20141211/pr20141211.html


◆イベント・セミナー等の紹介
nano tech 2015 第14回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議
〜世界最大規模のナノテク展示会です〜

 開催期間:2015年1月28日(水)〜1月30日(金)10:00-17:00
 場所:東京ビッグサイト東4・5・6ホール&会議棟


nano tech 2015 NBCIの展示・メインシアター講演のご案内
〜NBCIはnano tech 2015にてブース展示、メインシアター講演を行います〜

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◆ブース展示◆
◇東5ホール 5R-07ブース(メインシアター前)
◇東6ホール 6J-11ブース(3D printing 2015展)
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◆メインシアター講演◆
◇1月30日(金) 東5ホールメインシアター
 11:30-11:40
   NBCI事務局長 栃折早敏 
       『NBCIのナノテクノロジー戦略』
 11:40-12:20
   千歳科学技術大学 下村政嗣 教授 
       『ナノテクノロジーとビッグデータが支えるバイオミメティクス』
 12:20-13:00
   東京大学 竹内昌治 教授 
       『ナノバイオデバイス技術が拓く次世代医療・創薬・環境センシング』
 13:00-13:45
  名城大学 飯島澄男 教授
   (産業技術総合研究所ナノチューブ応用研究センター センター長) 
       『私のセレンディピティー』


NEDO 平成27年度 助成事業に係る公募(予告)
「低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト」

<公募概要>
技術・事業分野:材料・部材
事業名:低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト
ナノ炭素材料(単層CNT、多層CNT、グラフェン、フラーレン)の実用化に繋がる技術開発に対して助成を行い、早期の実用化を後押しします。

事業分類:研究(委託、共同研究、助成)
対象者:企業(団体等を含む)、大学等
公募開始:平成27年2月中旬予定
問い合せ:電子・材料・ナノテクノロジー部  担当者:賀川・小森
http://www.nedo.go.jp/koubo/EF1_100072.html



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◆【連載!神田のカルチェラタン】

アベノミクス〜平成27年度予算〜イノベーション〜

 アメリカ、EU、中国等々、日本も含めて世界中がインフレ志向です。
 インフレが行き過ぎればバブルになるのでしょうが、お金・通貨という尺度がどう変わろうと、技術やイノベーションの価値は変わらないと信じられます。

   nano2biz Magazine45号 カルチェラタン  アベノミクス〜平成27年度予算〜イノベーション
 

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