メルマガ nano2biz 第46号をお届けします。
日本が米、牛肉、豚肉等農業問題で譲歩し、アメリカが自動車関税で譲歩することで、TPP交渉も大詰めを迎えているようです。TPPは秘密保護法の対象なのでしょうか、条文の詳細、内容、交渉経過の情報はかなり制限されているようです。
情報が限られる中、個人的には米国が強いサービス分野等が気になりますが、TPPには外圧による規制改革の側面もあり、対新興国の知財保護の面でも大きなメリットがあると期待しています。
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nano2biz News |
◆技術開発動向
■世界初、印刷で作れる電子タグで温度センシングとデジタル信号の伝送に成功
〜従来比10倍以上の高性能、1/10以下の低コスト化を実現〜
<概要>
東京大学、大阪府立産業技術総合研究所等のグループはNEDOプロジェクトにおいて、印刷で製造可能な有機温度センサと高性能有機半導体デジタル回路を開発し、電子タグとして温度センシングと商用周波数での温度データ伝送に世界で初めて成功しました。
<今後の展開>
従来の塗布型有機半導体よりも、10倍以上高い性能で、1/10以下の低コスト化が可能な印刷法で形成でき、軽く、薄く、曲げられ、低コストな温度センサ機能つきプラスティック電子タグとして、工程管理やヘルスケアなどの広範な用途が期待されます。
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100348.html
■自動車用小型コネクターの評価装置
<概要>
産業技術総合研究所ナノシステム部門ナノ光電子応用研究グループの清水上席主任研究員らは、自動車の低燃費化の為に、電気配線の軽量化やコネクターの一層の小型化のため、銅板にスズメッキを施して製品化されている自動車ワイヤーハーネス用コネクターを小型化・軽量化するための評価装置を開発したとのことです。
<今後の展開>
今後は開発した開発した装置を用いて微小領域での構造と接触電気抵抗との相関や、導電に関する接触荷重などに関するデータを取得するとともに、コネクターの小型・軽量化
に国研出来る装置の高精度・多機能化を進めるとのことです。
http://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/aistinfo/aist_today/vol15_02/vol15_02_p16.pdf
■異種材料を組み合わせた多接合太陽電池
<概要>
産業技術総合研究所太陽光発電工学研究センター先進多接合デバイスチームの菅谷武芳研究チーム長らは、安価な超高効率多接合太陽電池の普及を目指して、様々な種類の太陽電池を自由自在に直接接合できるスマートスタック技術を開発しました。
これまでの多接合太陽電池は、高効率化(40%以上)が可能とされながらも製造コストの高さがネックとなっていました。
<今後の展開>
今後は、この多接合太陽電池の量産化が可能となるよう、V−X化合物半導体トップセル作製の低コスト化、大面積基盤での剥離技術、GaAs基盤再利用技術の研究開発を進め、変換効率40%以上を目指すとのことです。
http://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/aistinfo/aist_today/vol15_02/vol15_02_p13.pdf
■置換ベンゼンを意のままにつくる
〜世界初、完全非対称6置換アリールベンゼンの合成と単離〜
<概要>
名古屋大学 大学院理学研究科の伊丹 健一郎 教授らの研究グループは、置換ベンゼンを意のままにつくる新しい合成法を開発しました。破格の構造多様性をもつ多置換ベンゼンをプログラムされた様式で合成できる手法で、単純でありながらも長年未解決であった「多置換ベンゼン問題」に1つの解答を与えるものです。
<今後の展開>
「多置換ベンゼンを自在に合成し活用する」ことが可能になったことから、基礎と応用の両面から多置換ベンゼンの化学が飛躍的に発展することが期待されます。また、今回の方法論は汎用性が高いために、化学者がこれまで手にすることができなかった様々な多置換有機分子の合成が同様の戦略によって可能になると期待されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150127/index.html
■カーボンナノチューブを用いた高性能なn型熱変換フィルムの作製に初めて成功
〜フレキシブルで軽量の熱電変換デバイスの開発に道〜
<概要>
九州大学学大学院工学研究院/カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の福丸貴弘特任助教らの研究グループが、カーボンナノチューブの内部空間にコバルトセン分子を内包させることにより、これまで困難であった高性能なn型熱電変換材料の開発に成功したと発表しました。
<今後の展開>
本研究で得られたCNTの内部に分子を内包する手法は、高性能なフレキシブル有機熱電変換材料を得るための1つの有力の手法であす。今後、研究グループは、熱電変換性能及び安定性の更なる向上を指向した研究を進め、CNTのエネルギー分野への基礎及び応用研究を進めるとしています。
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2015/2015_01_23_1.pdf
■透過率の高い金属メタマテリアルを開発
〜フィン状の周期構造の巨大複屈折を利用〜
<概要>
東京農工大学大学院工学研究院先端機械システム部門の岩見健太郎准教授らのグループが、細く高い金属ナノフィンの周期構造を製作することで、可視光の波長域で最大40%を超える高い透過率と、2分の1波長に迫る大きな位相差170°を合わせもつ、金属メタマテリアルを実現したと発表しました。
<今後の展開>
本研究の成果は、超高速光通信のための光制御素子や、3D動画プロジェクターのための空間光変調器へ応用されることが期待されるとのことです。
http://www.tuat.ac.jp/disclosure/pressrelease/2014/20150115155006/index.html
■未来の磁気メモリー材料開発につながる新たな電気分極成分を発見
<概要>
東京大学物性研究所の徳永将史 准教授らと産業技術総合研究所、上智大学、福岡大学、青山学院大学の共同研究グループが、磁性と強誘電性の共存するマルチフェロイック物質のビスマスフェライトにおいて磁場で制御できる新たな電気分極成分を発見し、この成分が室温で不揮発性メモリー効果を示すことを観測したと発表しました。
<今後の展開>
今後、実際のメモリーとしての動作に必要な電場による磁気秩序、電気分極の制御とその直接観測を目指して研究を発展させる予定とのことです。
http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/issp_wms/DATA/OPTION/release20150109.pdf
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20150113/pr20150113.html
http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/news/2014/1/globalnews_1320/20150113?kind=1&target=press&targetid=20197
http://www.fukuoka-u.ac.jp/research/column/15/01/13124646.html
■絶縁体に光を照射してスピン流を創り出す新しい原理を発見
〜新原理・新機能のエネルギー変換技術開発に道〜
<概要>
東北大学 金属材料研究所の内田 健一 准教授らの研究グループが、特定の金属微粒子を含む磁石に可視光を照射することで、スピン(磁気)の流れを生成できる新しい原理を実証したと発表しました。
<今後の展開>
本研究により、磁気、熱や音波に加えて、光によってスピン流生成が発現することが分りました。この結果は、電流やスピン流の駆動力として利用可能なエネルギー源の選択肢を広げることとなり、表面プラズモンとスピン流を融合した新しい研究分野の形成や、外部電源を必要としない電気、磁気デバイスの研究開発に貢献することを期待しているとのことです。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150108/index.html
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2015/01/press20150107-01.html
http://www.jaea.go.jp/02/press2014/p15010803/
■ボトルシップ型フェムト秒レーザー三次元加工技術を開発
〜バイオチップ内部に三次元微細構造を付加し高機能化を実現〜
<概要>
理化学研究所光量子工学研究領域 理研-SIOM連携研究ユニットの杉岡幸次ユニットリーダーらの研究チームが、2光子造形法によりガラスマイクロ流体構造内部に精密な三次元構造を有する機能素子を形成する技術を開発したと発表しました。
<今後の展開>
本研究を用いることで、ひとつのバイオチップに多様な機能を複数集積化して高機能化することや、既存のバイオチップの高機能化などが期待されるとのことです。
http://www.riken.jp/pr/press/2015/20150116_1/
■先端X線分光法が「働く触媒中の電子の動き」を捉える
〜触媒の新規創製、性能向上に指針を与える新しい測定技術を実証〜
<概要>
日本原子力研究開発機構のジャリッジ・イニヤス研究員と大阪大学大学院工学研究科の笠井秀明教授らが、ダイハツ工業株式会社との共同研究により、触媒の反応過程における電子の動きを、その場で詳細に観察するための測定技術を開発したと発表しました。
<今後の展開>
今後は電子の動きを通じて触媒の動きを制御するという新しい触媒創製・機能向上に向けた指針が得られ、貴金属使用の低減・代替を目指す自動車触媒や燃料電池触媒の開発に貢献が期待できるとのことです。
http://www.jaea.go.jp/02/press2014/p15010802/
http://www.eng.osaka-u.ac.jp/ja/dat/news/1421107317_1.pdf
■回転する光のエネルギーでらせん高分子の左右を逆に
〜クリーンな光エネルギーを使い、溶媒の屈折率を制御するだけで、極めて高効率に〜
<概要>
奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科の藤木 道也教授らと、蘇州大学の国際共同研究チームが、円偏光光源を照射して誘起されるらせん高分子の巻き方向が、円偏光の回転方向だけでなく波長によっても異なることを発見し、さらに、らせん誘起反応が効率よく進行する溶媒の条件も見出したと発表しました。
<今後の展開>
本研究により、らせん高分子のらせん巻きには、円偏光光源の左右性と照射波長(エネルギー)および溶媒の屈折率という三つの要因が関わっていることが明らかにされ、緑色の円偏光発光高分子ナノ粒子の発生と制御にも成功しています。この成果は、今後、医薬・農薬分野で光学異性体製造工程の簡易化などへの応用が期待されるとしています。
http://www.naist.jp/pressrelease/detail_j/topics/1929/
■鉄原子42個からなるカゴ状磁性分子の合成に成功
〜巨大分子磁石の世界記録を樹立〜
<概要>
九州大学、高輝度光科学研究センター、熊本大学、大阪大学、東北大学の5機関と大連理工大学(中国)、九州工業大学との共同研究グループが、これまでに人工的に合成されたなかで最も巨大な分子磁石となるカゴ状磁性ナノクラスター分子を開発することに成功するとともに、大型放射光施設SPring-8のX線装置と東北大学の強磁場実験施設を用いてその複雑な分子構造と電子状態を解明したことを発表しました。
<今後の展開>
今後、今回の経験を生かして、多様な磁性ナノクラスター分子の開発が可能になり、毒性の少ないFe 原子を主成分としたナノメートルサイズの中空のカゴ状構造分子は、磁場を用いて薬剤を運ぶドラッグデリバリーシステムへの応用も期待されています。
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2015/2015_01_06.pdf
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2015/150107/
http://www.sci.osaka-u.ac.jp/ja/topics/3462/
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2015/01/press20141225-02.html
◆イベント・セミナー等の紹介
■■NBCI ナノ工業計測評価WG 公開講演会「ナノ材料の計測フロー」の開催■■
ナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)では、ナノ工業計測評価WG を設けて計測評価に関する活動を行っています。この講演会は、その成果報告の一つです。
□開催要領
日時:2015 年2月24日(火)14:00 〜15:00
会場:東京YWCA 会館 217会議室 http://www.tokyo.ywca.or.jp/map/kanda.html
内容:講演「ナノ材料の計測のための階層的フレームワーク」※
講演者:ISO/TC229研究グループリーダー 須賀 三雄様
(日本電子株式会社 SM事業ユニット 副ユニット長)
※ISO/TC229(国際標準化機構第229技術委員会(ナノテクノロジー))の中で、産業技術総合研究所及びNBCI等が中心となり、2012年よりナノ材料の計測のための階層的フレームワーク(ナノ材料を評価するための複数の手法を組み合わせた計測方法)を検討してきました。今回この成果を公開講演会の形で報告します。
主催:ナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)
参費:無料
申し込みと問合せ:NBCI事務局 宮田(Email:miyata@nbci.jp Tel:03-3518-9817)
■■ナノテクノロジープラットフォーム事業 微細構造解析プラットフォーム■■
〜「第2回放射光利用研究セミナー」開催のお知らせ〜
日本原子力研究開発機構および物質・材料研究機構は、文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業の一環として、大型放射光施設SPring-8に設置した両機構の専用ビームラインを広く産学官のナノテクノロジー研究に供しています。
本セミナーでは、電池(燃料電池、二次電池)の開発における放射光利用に着目し、専用ビームライン等の放射光利用者から直接研究成果について紹介があり、電池分野の研究発展(特に放射光利用)、および、両機構の放射光施設の利用促進に結び付けたいとのことです。
□開催要領
日時:2015年3月30日(月)10:00〜17:00
場所:科学技術振興機構 東京本部別館1階ホール
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K's五番町
主催:独立行政法人 日本原子力研究開発機構 JAEA微細構造解析プラットフォーム
独立行政法人 物質・材料研究機構 NIMS微細構造解析プラットフォーム
参加費: 無料
お申込・お問合せ: E-Mail nanopla-office(at)ml.jaea.go.jp
「第2回放射光利用研究セミナー」お申込み・ご案内
■■「共用・計測 合同シンポジウム2015」■■
〜ナノテク・材料研究の最先端計測研究とイノベーションのための共用化推進〜
最先端計測技術の開発と国内外へ開かれた共用化により新たなマテリアルイノベーションを目指して開催されます。
□開催要領
日時:2015年3月10日(火)9時00分〜17時35分
17時45分〜意見交換会(会費2000円)
場所:独立行政法人物質・材料研究機構 千現地区
研究本館管理棟1階 第一会議室、講堂
内容:
@「微細構造解析プラットフォーム・ワークショップ」
文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業「微細構造解析プラットフォーム」が推進する最先端計測技術によるナノテクノロジー共用基盤の構築と生み出されたイノベーションについて、参画する全国10実施機関の研究成果や活動状況を報告します。
A「NIMS先端材料計測シンポジウム2015」
NIMS「先端材料計測技術の開発と応用プロジェクト」が推進する表面/表層から固体内部に至る世界最高水準の先端材料計測基盤の開発状況、ならびに環境エネルギー材料や情報通信材料などの先進材料研究への応用展開、産学独の連携と国際標準化活動など、第三期中期計画(2011〜2015年度)中間時点の最新成果を広く発信する場としたいと考えております。
Bポスターセッションや共用設備の利用相談、最先端設備のミニラボツアーを実施し、産学独の研究者、学生、エンジニアとの交流と連携を促進します。
参加費:無料 (但し 意見交換会 会費 2000円)
http://www.nims.go.jp/publicity/events/jointsympo2015.html
■■NIMS先進技術説明会■■
〜第2回NIMSオープンイノベーションセンター(NOIC)※ワークショップ〜
この度、NOICで実施する新規研究テーマを検討いただく会員資格として“パートナー会員”を新設し、企業を対象として広く募集することとなりました。この新規テーマ探索活動の一環として、本ワークショップを開催し、企業の皆さまとの意見交換を通じて、新規テーマを構築する足がかりを共に形成したいとのことです。
※NIMSでは、2012年度より会員制連携研究のためのNIMSオープンイノベーションセンター(NOIC)を開設し、複数の企業、公的機関が会員として共通の研究課題に取組み、競争力のある基盤技術確立を目指しています。現在は企業12社、公的機関4機関が参画しています。
□開催要領
日時:2015年3月16日(月)
ワークショップ 13:05〜17:05
交流会 17:15〜18:15
場所:物質・材料研究機構 (NIMS) 千現地区 第一会議室
(茨城県つくば市千現1-2-1)
主催:NIMSオープンイノベーションセンター
内容:
@研究内容の紹介:ダイヤモンド、微粒子プロセス、水素分離、金属腐食、有機エレクトロニクスといった新規材料選定、生成プロセス、信頼性等の材料開発の各段階を網羅した研究内容をご紹介します。
A最新の設備を活用し、これらの材料創製を促進するために設置されているナノテクノロジー融合ステーションの紹介
参加:無料 (但し、意見交換会 会費1,000円)
http://www.nims.go.jp/publicity/events/The2ndNOICworkshop.html
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このnano2bizは皆様方と双方向、意見・情報を交換しながら内容の向上に努める前提でスタートしています。製品・技術紹介でも研究等のパートナー募集でも何でも結構です。
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