メルマガ nano2biz 第58号をお届けします。
蚊取り線香のCMではないですが「日本の夏」が始まっています。
ところが、日本の夏が寒くなっています。
如何にも夏と言う感じのTシャツ・短パン姿の暑苦しい若者と目のやり場に困った胸元の大きく空いたシャツ、ノースリーブのワンピースを着た女性を見かけなくなりました。代わって、カーディガンを手に持つ女性、長袖シャツ腕まくりのサラリーマンが多くなっています。クールビズはどこへ行ってしまったのでしょう。ユニクロ不振の原因の一つかもしれません。
東京の地下鉄に10分も乗っていると寒くなってきます。温度を下げるのがサービスと考えているのでしょうか、それとも3.11や省エネを忘れてしまったのでしょうか。
夏は夏らしく、昔からの日本らしさでクールにやり過ごしたいものです。
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nano2biz News |
◆技術開発動向
■単分子ワイヤーの持つ高い熱電性能を実証
<概要>
大阪大学産業科学研究所バイオナノテクノロジー研究分野の筒井真楠准教授と谷口正輝教授が、マイクロヒータと機械的破断接合を組み合わせたデバイスを応用し、単分子ワイヤーが有する量子効果を利用した高い熱電特性を室温下で実証することに成功したと発表しました。
<今後の展開>
今回の結果は、推定値ながら無次元性能指数ZTが1以上という高い熱電性能を実証したもので、また、分子接合の熱電特性向上には、電極と分子の接続の設計が重要になるとしています。
http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/operation/research_activities/?ad=2015#lk2013
■マイクロ液滴の特異な混合メカニズムを発見
〜エレクトロニクス製造のための先進インクジェット技術の流体科学〜
<概要>
産業技術総合研究所の長谷川達生 総括研究主幹らが、先に開発したダブルショットインクジェット印刷法において、均質な単結晶薄膜を形成できる理由が、異なるマイクロ液滴を混ぜ合わせた際に見られる強い表面張力に支配された特異な混合様式に起因することを明らかにするとともに、そのような混合様式を制御するための混合メカニズムを明らかにしたと、発表しました。
<今後の展開>
今後は得られた知見を活かし、デバイス高性能化、適用材料拡大、全印刷デバイス試作に取組むとのことです。
https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20150714/nr20150714.html
■低温X線回折イメージングによる葉緑体内部構造の非侵襲・高分解能観察に成功
<概要>
慶應義塾大学理工学部物理学科 中迫雅由教授、東京理科大学理工学部応用生物学科 松永幸大教授らの研究グループが、XFEL(X線自由電子レーザー)施設SACLA(SPring-8
Angstrom Compact Free Electron LAser)において、生体粒子の機能状態の構造を非侵襲で可視化するコヒーレントX線回折イメージング法を、バクテリア葉緑体の構造解析に適用し、内部構造を70nmの解像度で明らかにすることができたと発表しました。
<今後の展開>
本研究は、生体等の非結晶粒子の構造解析を示したもので、研究グループは、CXDI実験・解析の広範かつ効率的な適用が、ナノ科学の発展に貢献することを期待している。
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr000000z1go.html
http://www.tus.ac.jp/today/20150713_01.pdf
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2015/150713/
■光による磁気弾性波の発生と磁区の駆動に成功
〜光による高速磁気メモリ制御の実現へ前進〜
<概要>
理化学研究所創発物性科学研究センター強相関物性研究グループの十倉好紀グループディレクター、小川直毅上級研究員らの研究チームが、磁性絶縁体にパルス光を照射すると磁気弾性波が発生し、局所的に磁区を操作できることを発見し、光で発生させた磁気弾性波は、曲率の大きな磁壁に対し、より大きな相互作用を示すことを明らかにしたと発表しました。
<今後の展開>
これらの結果は、光を用いて磁気弾性波を発生させることで磁性絶縁体中の磁壁・磁区を高速かつ局所的に操作できることを示し、より省エネルギーなスピン波を用いた磁気メモリデバイスや高速磁気情報制御を実現するための基礎となる知見になるとのことです。
http://www.riken.jp/pr/press/2015/20150707_1/
■世界最高磁場のNMR装置(1020MHz)の開発に成功
〜高温超伝導体の応用が決め手 新薬創製・新物質開発の高速化にむけて大きな前進〜
<概要>
物質・材料研究機構、理化学研究所、株式会社神戸製鋼所、株式会社JEOL Resonanceおよび科学技術振興機構からなる研究チームが、JST先端計測分析技術・機器開発プログラム「超1GHz−NMRシステムの開発」の一環として、1020MHzという世界で最も強い磁場を発生できる超高磁場NMR(核磁気共鳴)装置の開発に成功し、実際に測定を行って従来のNMRに比べて感度と分解能が著しく向上していることを確認したと発表しました。
<今後の展開>
今後はさらに高磁場化を図ると共に、MRI磁石の開発など磁石技術の応用展開を図るとのことです。
http://www.nims.go.jp/news/press/07/201507010.html
http://www.kobelco.co.jp/releases/2015/1191486_14507.html
http://www.jeol.co.jp/news/detail/20150701.1227.html
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150701-3/index.html
■原子19個の白金粒子が最高の触媒活性を示す
〜燃料電池触媒の質量活性20倍、低コスト化に道〜
<概要>
東京工業大学 資源化学研究所の山元公寿 教授と今岡享稔 准教授らは、原子19個で構成される白金粒子(Pt19)が、現在の燃料電池に用いられている白金担持カーボン触媒の20倍もの触媒活性を発揮することを発見した。山元教授らが開発した白金ナノ粒子の構成原子数を1原子単位で精密にコントロールして合成する技術を用い、少数の原子から構成される白金微粒子の酸素還元反応(燃料電池の正極反応)に対する触媒活性を調査し、これまで見つかっていなかった最も高い活性を示す構造を突き止めました。 <今後の展開> 将来、燃料電池に使用する白金を大幅に削減することで、燃料電池の低コスト化に寄与する基盤技術として期待されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150722-5/index.html
◆イベント・セミナー等の紹介
■■第6回TIA-nanoシンポジウム■■
〜資源好循環を促すオープンプラットフォームTIA-nano〜
つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)は、2015年から第2期(2015〜2019年)を迎えています。第2期では、これまで生み出された数々の優れた研究成果、充実した研究開発インフラ、次世代ナノテク人材育成の新たな仕組み等を基盤とする「オープンプラットフォーム」の形成を目指しています。
第2期のスタートにあたり、TIA-nanoが目指す「継続的イノベーションのための資源連動の仕組み」の具体化に向けた、産学官の研究開発、企画、行政関係者等の広汎な意見の交流・交換の場として「TIA-nanoシンポジウム」が開催されます。
□開催要領
日時:2015年9月17日(木)13:30−19:30(13:00開場)
場所:イイノホール&カンファレンスセンター(東京都千代田区内幸町)
主催:つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)
https://www.tia-nano.jp/events/2015/0709.html
■■イノベスタ2015開催/9月11、12日■■
イノベスタは東京都立産業技術研究センター(都産技研)の技術や設備を体感できるイベントです。
2日間を通してロボット展示・話題の3Dプリンターや、この時しか見られない研究室も多数公開されます。
□概要
9月11日(金)は企業の皆さまのビジネス展開に役立つ特別イベント
9月12日(土)はご家族でも楽しめるスペシャルイベント
http://www.tiri-innovesta.jp/
■■NEDO「低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト(助成事業)」に係る二次公募について(予告)■■
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、下記事業の実施者を一般に広く募集します。
□事業内容
ナノ炭素材料(単層CNT、多層CNT、グラフェン、フラーレン、ナノダイヤ等)の実用化に繋がる技術開発に対して助成を行い、早期の実用化を後押しします。
・対象者:企業(団体等を含む)、 大学等
・公募開始予定日:平成27年8月下旬
□その他
この公募に関する説明会開催や応募方法については、後日、NEDOのホームページに掲載されます。
問い合わせ先:電子・材料・ナノテクノロジー部
担当者:賀川、小森、小久保、FAX:044-520-5212
http://www.nedo.go.jp/koubo/EF1_100086.html
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◆【連載!神田のカルチェラタン】
来るのか?「コンドラチェフの波」
上海株式市場で急激に値を崩す銘柄や、上場停止になる企業が増えています。中国のバブルが弾けたらどうなるだろうと漠然と考えていた時に、ふと景気の長期波動・コンドラチェフの波が思い浮かびました。
コンドラチェフの波の有効性を検証するつもりで、俗説の「企業の寿命30年」、「同族企業は3代」、「歴史は繰り返す」と関連付けて考えてみました。(そういえば、十干十二支も60年でした。)(編集長 馬田芳直)
nano2biz Magazine58号 カルチェラタン 〜来るのか?「コンドラチェフの波」〜
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