59号 2015/8/13(木)

メルマガ nano2biz 第59号をお届けします。

 久し振りに海水浴にでかけてきました。かつて芋の子を洗うと表現された海水浴場も今は、泳ぐことができます。水も綺麗になっているようです。

 日本生産性本部がまとめた「レジャー白書」によると、国内の海水浴客数は2012年に約990万人。ピークだった1985年(約3790万人)と比べ、4分の1に減っているそうです。

 今年(2015年)はさらに減っていることでしょう。

 減少の理由は、「日焼け」、「レジャーの多様化(?)」、「マナーの悪化(バーベキュー、花火、音楽、喫煙、飲酒等)」、「海の家等の設備」、「駐車場」等々、種々あるようですが、日本の若者の引きこもり的傾向が最大の原因だと思われます。

 クーラーが効いた部屋でスマホと遊んでおられたのでは、夏の消費が伸びる訳ないですね。



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発行元:NBCI

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nanobiz News
◆技術開発動向
ナノ炭素材料 多層グラフェンで初の商品化
〜加速器用ビームセンサー材料としてカネカが販売へ〜

<概要>
 
新エネルギー・産業技術総合開発機構・NEDOプロジェクトにおいて、技術研究組合単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)は、組合員である株式会社カネカが中心となって、これまで作製が困難だったナノ炭素材料である高品質多層グラフェンの開発に成功し、大型粒子加速器のビーム形状測定センサー材料として高エネルギー加速器研究機構(KEK)へ実装されることとなりました。
<今後の展開>
 今回のKEKの検討によって、TASCで開発された多層グラフェンはビームセンサー材料として、実際のビームラインに導入可能となりました。KEKでは本年秋以降にJ-PARCの大強度陽子加速器での本格的な利用を予定しています。
 また、カネカは、多層グラフェンを用いたビームセン
サーは世界中の加速器への導入が可能であり、医療用途などの小型加速器等へも広く用いられることが期待されることから、ビームセンサー等の用途として、厚さ約1μmの多層グラフェンを商品化し、海外へも展開して行くとのことです。
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100420.html


シリコンのナノ粒子を塗布するだけで太陽電池変換効率の向上に成功

<概要>
 物質・材料研究機構(NIMS)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)のMrinal Dutta博士研究員および深田直樹グループリーダーを中心とする研究グループは、直径5nm以下のシリコンからなるナノ粒子を利用することで、シリコン系太陽電池の変換効率を向上させる簡便な方法を見出しました。
<今後の展開>
 今回開発した技術は、シリコンを中心として環境にやさしい物質で実現可能であり、さらにシリコンナノワイヤ型だけでなく、現在使用されている一般的なシリコン系の太陽電池にも簡単に応用可能と考えられ、シリコン系太陽電池の変換効率を向上させる有用な方法の1つとして提案できます。今後は、シリコンナノ粒子のサイズおよび表面を終端する分子種の最適化を行うことにより、変換効率向上の更なる効率化を目指すとしています。
http://www.nims.go.jp/news/press/07/201507290.html


ゲルマニウム導入し光るダイヤを開発
〜バイオマーカーや量子暗号通信への応用へ期待〜

<概要>
 東京工業大学 大学院理工学研究科の岩崎孝之 助教と波多野睦子 教授らの研究グループは、ダイヤモンド中の空孔とゲルマニウムからなる新しいカラーセンターの形成に世界で初めて成功しました。
<今後の展開>
 ダイヤモンド中のGeVセンターは炭素とゲルマニウムからなる新しい原子レベルサイズの機能性構造であり、ダイヤモンドの特長である高い生体適合性を持っています。さらに、発光強度が大きいことから、ナノダイヤモンド中へのGeVセンターの形成により、細胞内で退色しない安定な高輝度マーカーとして機能し、生体機能の解明や細胞レベルでの新しい診断技術につながり、均一な発光波長の単一GeVカラーセンターによって、量子暗号通信用光源への応用が期待されています。

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150807/index.html


太陽光程度の弱い光でも、フォトン・アップコンバージョン効率の最大化を可能にした固体材料の開発に世界で初めて成功

<概要>
 九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門の君塚信夫主幹教授、楊井伸浩助教らと、ミラノ・ビコッカ大学(イタリア)のアンジェロ・モングッチ博士の国際共同研究グループは、低エネルギーの光を高エネルギーの光に変換する技術であるフォトン・アップコンバージョンの実用化に不可欠な、太陽光程度の弱い光で効率を最大化する有機―無機複合材料を世界で初めて開発しました。
<今後の展開>
 PMMAなど汎用性のプラスチックに組み込むことも可能であるため、折り曲げたり伸ばしたりできるフレキシブルなデバイスの基盤材料としても期待されています。将来的に近赤外光を可視光に、また可視光を紫外光に変換する色素系へと応用すれば、太陽電池や人工光合成の効率を高めるための画期的な方法論になることが期待されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150804/index.html


リチウムなどの軽元素を原子レベルで可視化
〜軽元素を一つ一つ直接「見る」技術を開発〜

<概要>
 産業技術総合研究所ナノ材料研究部門末永和知 首席研究員と同部門 電子顕微鏡グループ 千賀 亮典 研究員は、低加速電子顕微鏡を用いて、リチウムを含む軽元素を原子一つ一つの精度で可視化することに成功しました。
 今回、シールド材料としてカーボンナノチューブやフラーレンを用い、これらの中に軽元素や軽元素を含む化合物を閉じ込めて、電子線のダメージを減らしたとのことです。さらに、単原子を捉えるために化合物を原子一列または二列の幅まで薄くし、今回開発した方法を用いて元素ごとの像と各元素の位置を特定し、従来の電子顕微鏡像と比較すると、重い原子の間に軽元素が存在していることがはっきりとわかるとのことです。
<今後の展開>
 今回の手法では、リチウムなどの軽元素の結合状態を直接分析できるため、化学反応プロセスでのリチウムの状態を従来以上に詳細に理解できる可能性があります。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20150731/pr20150731.html


有機ナノ粒子吸着による金属グラフェンナノリボンの部分半導体化に成功

<概要>
 九州工業大学大学院生命体工学研究科 田中啓文教授の研究グループが大阪大学小川琢治教授、小林慶裕教授、北海道大学葛西誠也教授、千葉大学山田豊和准教授の研究グループと共同で、2層カーボンナノチューブをアンジップして半金属性単層グラフェンナノリボン(sGNR)を安定的に得る方法を確立し、得られたsGNRに平面分子ナノ粒子を吸着させて吸着部分の周辺のみが半導体化することを明らかにしたと発表しました。
<今後の展開>
 本研究は、sGNRの安定的な作製を可能にし、その一部を半導体化できることを示しており、研究グループは、グラフェンを用いたナノ配線ナノデバイス一体構造の実現に繋がることを期待しています。

http://www.kyutech.ac.jp/info/id4438.html
http://www.sci.osaka-u.ac.jp/ja/topics/4104/
http://www.hokudai.ac.jp/news/150724_kyodo_pr.pdf


室温で動作する高感度・高分解能の小型心磁計を開発
〜心疾患の治療・検査が革新的に変わる〜

<概要>
 東北大学大学院工学研究科、医学系研究科、コニカミノルタ株式会社の研究グループが、室温で動作する高感度かつ高分解能の心磁計の開発に世界で初めて成功したと発表しました。新材料を用いた低ノイズ高出力トンネル磁気抵抗素子開発に加えて、心臓からの磁場を検出するのに最適な低ノイズ回路を開発することによって達成されたものです。
<今後の展開>
 これまではシールドルーム内の特殊な環境下でしか測定することができなかった磁場信号を、簡易、安価、高分解能でしかも室温で測定することが可能となったことから、虚血性心疾患や不整脈等の心疾患の診断が大幅に向上し、また、リラックスした環境で、心臓をモニタできます。将来的には、予防医療やスポーツ、ヘルスケアなど、さまざまな応用が期待できるとしています。この研究課題の最終目標は脳内観測であり、今回はそのマイルストーンでもあるとのことです。

http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2015/07/press20150723-01.html
http://www.konicaminolta.jp/about/release/2015/0723_02_01.html
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150723/index.html



有機鉛ペロブスカイト太陽電池の発電層形成過程をリアルタイム解析
〜SPring-8のX線を使い、結晶形成過程の異常拡散現象を初めて確認〜

<概要>
 産業技術総合研究所太陽光発電研究センター有機系薄膜チーム 宮寺 哲彦 研究員、近松 真之 研究チーム長らは、高輝度光科学研究センター産業利用推進室 小金澤 智之 研究員と共同で、有機鉛ペロブスカイト太陽電池の作製過程を、大型放射光施設SPring-8を利用したX線回折により解析し、発電層ができる過程を明らかにしました。
<今後の展開>
 この研究チームは今後、今回の知見を素子作製の研究にフィードバックし、高効率の太陽電池を再現性良く作製するためのプロセス開発を行います。放射光によるX線回折法がペロブスカイト結晶の形成過程の解析に有効とわかったので構造解析と素子開発の研究を相補的に行い、研究開発を加速させ、2020年までに有機鉛ペロブスカイト太陽電池を実用化することを目指しています。

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20150803/pr20150803.html



◆イベント・セミナー等の紹介
■■第6回TIA-nanoシンポジウム(再掲)
〜資源好循環を促すオープンプラットフォームTIA-nano〜

 つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)は、産業技術総合研究所、物質・材料研究機構、筑波大学、高エネルギー加速器研究機構の4機関が推進の中核となった世界有数のナノテクノロジー研究・教育拠点です。
 第2期のスタートにあたり、TIA-nanoが目指す「継続的イノベーションのための資源連動の仕組み」の具体化に向けた、産学官の研究開発、企画、行政関係者等の広汎な意見の交流・交換の場として「TIA-nanoシンポジウム」を開催いたします。また、同時に開催するポスターセッションでは、TIA-nanoを活用する研究プロジェクトの成果を一同に紹介します。

開催要領
  日時:2015年9月17日(木)13:30−19:30(13:00開場)
  場所:イイノホール&カンファレンスセンター(東京都千代田区内幸町)
  主催:つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)
  参加費:無料   参加登録が必要です。
        意見交換会 3,000円 (参加登録が必要です。)
  https://www.tia-nano.jp/events/2015/0709.html


■■平成27年度実践セミナー 『Bio & 計測実践セミナー』

開催要領
 日時:平成27年9月18日(金) 12:55-17:30
 場所:産業技術総合研究所つくば中央2-12棟第6会議室
 参加料:参加費無料、定員100名

プログラム
 12:55−13:00
   「はじめに」 
   産総研 共用施設ステーション 多田哲也
 13:00−13:30
   「電気化学的マイクロセンシングデバイスの新展開」 
   筑波大学 鈴木博章
 13:30−14:00
   「圧力駆動型マイクロ流体デバイスによる細胞培養と医薬品アッセイ」 
   産総研 創薬基盤研究部門 杉浦慎治 
 14:00−14:30
   「疾病マーカー検出用マイクロセンシングデバイス」 
   産総研 バイオメディカル研究部門 栗田僚二
 14:30−15:00
   「細胞チップを用いた各種疾患診断技術」 
   産総研 生命工学領域研究戦略部 山村昌平
 15:15−15:35
   「液中AFMによるDNA観察」 
   産総研 NPF共用施設 山崎将嗣
 15:35−16:05
   「高解像度質量分析イメージング技術 ―形態観察と定性分析の融合―」
   株式会社島津製作所 分析計測事業部 緒方是嗣 
 16:05−16:35
   「2光子励起レーザー走査型顕微鏡」 
   オリンパス株式会社 光学システム開発部 山崎健太郎
 16:35−16:45 
   「筑波大学共用施設の紹介」
   筑波大学  鈴木博章
 16:45−16:55 
   「ナノテクノロジープラットフォームの紹介」
   微細加工プラットフォーム・コーディネータ 島本直伸
 16:55−17:30 
   オーサーズインタビュー
 17:30 
   閉会
  https://nanoworld.jp/npf/training/h27-2/index.html




■■JSTフェア2015

科学技術振興機構(JST)は、JSTフェア2015において、産業創造をめざした当機構の各種支援事業のご紹介や、その事業成果を展示発表いたします。

開催概要
 会期:2015/8/27〜28
 会場:東京ビッグサイト(西3ホール)

展示概要
 「未来の産業創造」を目指した、200を超えるJST発の研究開発成果を紹介します。

2014年ノーベル物理学賞天野浩教授の受賞メダル特別展示
 ノーベル賞に至る研究成果の歴史、青色LEDがもたらしたイノベーションの数々もあわせて紹介します。

基調講演[ 8月28日(金)11:00-12:00 ]
 講演タイトル「ドローンビジネス最前線」(仮題)
 株式会社 自律制御システム研究所
 代表取締役 野波健蔵 氏(千葉大学 特別教授)

COI(センター・オブ・イノベーション)シンポジウム
 10年後のあるべき社会の姿、暮らしのあり方を見据え、革新的な研究開発テーマに産学が連携して取り組む本プログラムより、全国18拠点における研究開発成果の発表を行います。
CRDS(研究開発戦略センター)セミナー
 わが国の科学技術イノベーション政策に関わるシンクタンク機関であるCRDSより、「ナノテク・材料」、「ライフ・臨床」、「情報科学技術」、「環境・エネルギー」の各分野における政策動向調査や俯瞰分析活動について報告します。
フェアの来場対象者のイメージ
 
研究開発型企業の開発担当者の方
 ◯ 大学・公的研究機関との共同研究や委託開発を模索されている方
 ◯ 製品開発等への支援を希望されている企業関係者の方
 
イノベーションの種を探している企業関係者及び投資家の方々
 
JSTの活動内容に興味関心のある方
http://www.jst.go.jp/tt/jstfair/index.html



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◆【連載!神田のカルチェラタン】

イノベーション不要の時代から Pax Japonica へ


 パック入りのジャポニカ米ではありません。
日本あるいは日本の文化がリードする世界の平和です。
日本のイノベーションを考えている内に、話が少し大きくなりすぎました。

 米国、EU、東アジアの経済情勢の危うさが増し、一触即発の観すら漂い始めています。そうした時代であるからこそ、日本でイノベーションを興す必要があると考えています。イノベーション?自分とは関係ないと思わず、其々の職場から世界をアッと言わせてみせる、これぐらいの気概を持って、イノベーション創出に取り組みたいものです。
(編集長 馬田芳直)


nano2biz Magazine59号 カルチェラタン
〜イノベーション不要の時代からPax Japonicaへ〜

 

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代表) FAX:03-5280-5710

   http://www.nbci.jp