■世界初 スーパーグロース・カーボンナノチューブの量産工場が稼働
〜日本ゼオン株式会社が量産開始へ〜
<概要>
NEDOプロジェクトの成果をもとに、産業技術総合研究所が開発したスーパーグロース(SG)法を用いたカーボンナノチューブ(CNT)の世界初の量産工場を日本ゼオン(株) が完成させ、稼働を開始しました。
<今後の展開>
SG法は高速・大量合成が可能であり、SG法で得られるCNTは、従来と比較して、高アスペクト比、高純度、大表面積といった特長を有し、従来にない機能や特徴を持つ新機能性材料、次世代デバイス等への応用が期待される材料です。高性能キャパシタ、高機能ゴム材料、高熱導電材料等の革新的材料やデバイスへ応用できることから、その需要拡大が見込まれます。
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100481.html?from=nedomail
■グラフェンナノリボンによる紫外光のテラヘルツ変調
〜テラヘルツ波発振素子の可能性をシミュレーション〜
<概要>
産業技術総合研究所ナノ材料研究部門材料界面シミュレーショングループ 宮本 良之 研究グループ長と、中国 四川大学 Hong Zhnag教授、Xinlu
Cheng教授、ドイツ マックスプランク 物質構造・ダイナミクス研究所 Angel Rubio教授は、グラフェンナノリボンが紫外光をテラヘルツ(THz)の周期で変調させる作用があることをシミュレーションで発見しました。この計算結果から、テラヘルツ波発振素子への応用を提案しています。
<今後の展開>
今後は、実際に応用が期待されている0.5 THZから5 THZのテラヘルツ波を発生させる、グラフェンナノリボン以外の低次元材料を探索するとのことです。また、照射する光の波長も、紫外光領域から可視光、赤外光領域まで、より幅広い可能性を追求していく予定とのことです。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20151027_2/pr20151027_2.html
■呼気で肺がんのスクリーニング
〜健康管理のための呼気ガスセンシングシステムの開発〜
<概要>
産業技術総合研究所無機機能材料研究部門電子セラミックスグループ 申 ウソク 研究グループ長、伊藤 敏雄 主任研究員は、フィガロ技研 株式会社と共同で、健康管理のための呼気ガス検知器を開発しました。
<今後の展開>
今後は、呼気中水素ガスについては、あいち健康の森健康科学総合センターで得られたデータを解析し、水素ガス濃度と生活習慣や血液検査結果との関連を検討するとのことです。また、呼気中のVOCについては、本プロジェクトの一環として、広島大学において呼気成分解析による肝がんと歯周病の特徴を抽出する研究を行うとしています。
肺がんのスクリーニング技術については、高度な統計解析を取り入れて肺がんと健常を判別するアルゴリズムを改良し、確度の向上を検証する予定とのことです。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20151027/pr20151027.html
■高品質・低価格でモノシリコンを育成できる新しい鋳造法「シングルシードキャスト法」を開発
<概要>
物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)ナノエレクトロニクス材料ユニットの関口隆史グループリーダーと、九州大学 応用力学研究所の柿本浩一教授らの研究チームは、高品質低価格のモノシリコン育成法を開発しました。
<今後の展開>
今回得られた成果は、シングルシードキャスト法という新しい鋳造法です。従来の鋳造法に比べ結晶の品質を飛躍的に向上することができ、シリコン太陽電池の効率化が期待されます。
http://www.nims.go.jp/news/press/2015/10/201510270.html
■シリコン電極で挟んだナノスケール分子スイッチの実現と電気特性の画像化
〜半導体テクノロジーと分子エレクトロニクスの融合〜
<概要>
筑波大学は数理物質系 重川秀実教授の研究グループが、走査トンネル顕微鏡(STM)の技術を駆使し、二つのシリコン(Si)電極で挟んだ分子の構造を精密に制御して、分子を流れる電流が変化する様子を測定し画像化する技術を開発し、この技術を用いることで、分子を伸縮させると電流値が急峻に変化する分子スイッチを実現したと発表しました。
<今後の展開>
今後、様々な分子の系に適用することで、これまでに無い新しい分子機能の発現、創成など、新たな分子エレクトロニクスの分野を構築する基盤技術となることが期待されるとのことです。
https://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p201501161800.html
■色が分類できる光ナノアンテナの開発に成功
〜ナノサイズの光で虹を作る技術を開発〜
<概要>
北海道大学電子科学研究所 笹木敬司 教授らが最先端超精密加工装置で特殊な形状に加工した金のナノ構造体(ナノアンテナ)によって、光を1万分の1ミリメートル(100nm)サイズまで絞り込むとともに、集光するナノスポットの位置を色によって自在に変化させて、ナノサイズの虹を形成する実験にはじめて成功したと発表しました。
<今後の展開>
ナノサイズの空間での色の分離は、ナノ粒子や生体分子個々のスペクトル分析や化学反応・生命現象の解析を可能にし、超小型カラー撮像素子、波長多重通信用の光回路デバイス開発に役立つと期待されています。
http://www.hokudai.ac.jp/news/151005_es_pr.pdf
■動くマイクロらせんで光を制御
〜MEMS技術を用いてテラヘルツ円偏光スイッチング素子を実現〜
<概要>
東京大学大学院情報理工学系研究科の下山勲教授、東京大学大学院理学系研究科の五神真教授(現総長)、および同情報理工学系研究科の菅哲朗助教(現特任講師)、同理学系研究科の小西邦昭助教らの研究グループが、テラヘルツ(THz)光(波長は数百μm)の偏光状態を右円偏光と左円偏光に切り替えられる円偏光スイッチング素子の作製に成功したと発表しました。
<今後の展開>
今後、本素子は、鏡像異性体を識別する円偏光フィルタに用いてたんぱく質の構造解析はじめ、薬学・医療分野への応用が期待され、さらに危険薬物などのコンパクトな分析機器実現にも役立つとされています。
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/9535/
http://www.leopard.t.u-tokyo.ac.jp/press/20151001.html
■カーボンナノウォールの電子デバイス応用に向けた電気的特性制御
<概要>
名古屋大学・プラズマナノ工学研究センターでは、名城大学・平松美根男 教授、株式会社NUエコ・エンジニアリング・加納浩之 博士/代表取締役との共同研究により、カーボンナノ構造体の1種であるカーボンナノウォール(CNWs)の電気伝導特性制御に向けた、構造制御技術・不純物導入技術を開発しました。
<今後の展開>
CNWsの電子物性において、窒素など不純物の状態制御によってドナー準位の導入と欠陥準位の不活化が独立に実現可能な事を示す結果であり、CNWsの電子デバイス応用の進展が期待されています。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0008622313010634
http://iopscience.iop.org/article/10.7567/JJAP.53.040307/meta