73号 2016/4/15(金)

メルマガ nano2biz 第73号をお届けします。

 今年の東京の桜は、天候の関係で開花から満開まで要した日数は例年より4、5日長かったようです。それでも、アッという間でした。

 なぜ、日本人が梅や桃よりも、桜を好むのかと考えてみました。彼岸を過ぎて暖かくなって咲く、ぼんやりとした淡いピンク、この緩さが良いですね。また、瞬時に散る儚さ、無常観などが受けたのでしょうね。それと忘れてはならないのが花見酒、寒すぎず、暑すぎず、屋外で飲むには持って来いではありませんか。自然とハッツァン、熊さん、仲間が集まります。




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発行元:NBCI

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nanobiz News
◆技術開発動向
高度な脱塩機能を発現するナノ構造制御カーボンの水分離膜をドライプロセスで合成することに成功
~窒素ドープ(添加)によって分離機能が向上~

<概要>
 信州大学遠藤 守信 特別特任教授を中心とする研究グループは、ナノカーボンを使ったRO膜の開発に対し、新規な膜形成手法(ドライプロセス)によって、従来のDiamond-like Carbon(DLC)膜より柔らかい炭素ベースの水分離膜を新たに開発し、最大96%という高い脱塩性能を達成しました。また、添加する窒素の量を調整することにより、脱塩性、透水性、耐塩素性を最適化できることを見出しました。
<今後の展開>
 コンピューターのシミュレーションでもその有効性を確認しており、資源開発など厳しい条件下での水処理膜の実用化が期待できます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160408-3/index.html


炭素材料の温度差発電性能を食塩の添加により飛躍的に向上 
~実用化水準の耐久性をもつn型カーボンナノチューブの熱電発電シートを開発~

<概要>
 奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科の河合 壯教授らが、世界最高水準の発電性能と耐久性を有するフレキシブルな熱電発電(温度差発電)シートを開発しました。
<今後の展開>
 本熱電発電シートの実用化は化石資源の効率的な利用と地球温暖化の抑止を同時に達成する切り札になり、又身の回りの温度差を利用するモバイル電源として人体や自動車内などのセンサーへの展開も期待できます。
http://www.naist.jp/pressrelease/detail_j/topics/2294/


光磁場による研磨
~光磁場による光化学反応の観測に成功~

<概要>
 東京大学大学院工学系研究科の八井 崇 准教授と分子科学研究所の信定 克准 教授らの研究グループが、光の振動方向を制御した光による表面研磨法を用いることで、高い振動数(約1PHz=1015Hz)を持つ光の振動磁場によって物質を加工することが可能であることを世界で初めて明らかにしました。
<今後の展開>
 本研究では、これまでの常識と異なり、光の振動磁場が加工に利用できることを発見しました。今回の発見は純粋な基礎研究への寄与だけではなく、より複雑な微細加工の制御に大きく役立つと期待されています。

http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/research-news/magnetic-field-affects-electrons-during-etching.html


■ポリエチレンテレフタレート(
PET)を分解して栄養源とする細菌を発見
~ペットボトルなどのPET製品のバイオリサイクルに繋がる成果~


<概要>
 慶應義塾大学理工学部の吉田昭介助教と宮本憲二准教授、京都工芸繊維大学の小田耕平名誉教授と木村良晴名誉教授の研究グループ、帝人株式会社、株式会社ADEKAが共同研究を行い、ポリエチレンテレフタレート(PET)を分解して生育する細菌(PETaseとMHETase)を発見するとともに、その分解メカニズムの解明に成功したことを発表しました。
<今後の展開>
 2種の酵素は、PETを効率よく、単量体であるテレフタル酸とエチレングリコールに分解し、生成されたテレフタル酸とエチレングリコールは、本菌により更に分解され、最終的に炭酸ガスと水になります。これまでPETは自然界で、分解されず蓄積するのみと考えられてきましたが、今回の研究により、PETを物質循環に組み込む生物的なルートが存在することが明らかとなりました。研究グループでは、見出された微生物由来酵素の活性や安定性を高め、理想的なPETリサイクルの実現に近づけたいとしています。
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr000001fh3n.html
http://www.kit.ac.jp/2016/03/topics160311/


世界最高水準の標準ガスバリアフィルムを開発
~有機ELの長寿命化への貢献に期待~

<概要>
 産業技術総合研究所(産総研)工学計測標準研究部門 圧力真空標準研究グループ 吉田 肇 主任研究員と化学プロセス研究部門 蛯名 武雄 首席研究員らが、粘土とポリイミドを原料とする、極めてガス透過性が小さいクレイポリマーコンポジットを用いて、水蒸気透過度(WVTR)が10-6gm-2day-1レベルの標準ガスバリアフィルムを開発したと発表しました。
<今後の展開>
 今後、研究グループは、国家標準にトレーサブルな標準ガスバリアフィルムの供給体制を整えて行くとしています。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160303/pr20160303.html


高性能ナノ繊維で強化した樹脂複合材料と高効率製造プロセスを開発
~京都大学内で一貫製造用テストプラントが稼働開始~

<概要>
 新エネルギー・産業技術総合開発機構、京都大学、京都市産業技術研究所(京都市産技研)は高性能セルロースナノファイバー(CNF)と、それで補強した樹脂複合材料の高効率連続製造プロセスを世界に先駆けて開発し、原料バイオマス処理から樹脂成形品製造までの一貫製造用テストプラントを完成稼働させたと発表しました。
 開発された変性リグノパルプは、CNFを熱可塑性のリグニンが覆っているため耐熱性が高く、6ナイロン樹脂などとの混練時にナノ解繊されて樹脂中にCNFが均一に分散され、樹脂との複合化も可能で、ガラスで繊維強化した材料より軽く高い強度特性が得られています。
<今後の展開>
 研究グループは、複数の企業や公的研究機関向けのサンプル提供を開始し、植物由来の高性能ナノ繊維で強化した樹脂材料の用途開発推進を図るとしています。また、これによりユーザーの求める機能開発という最も高いハードルを越え、他国の技術開発を大きく引き離すことを目指すとしています。

http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100536.html
http://tc-kyoto.or.jp/info/news/post-113.html


新構造磁気メモリ素子を開発
~スピン軌道トルク磁化反転の第3の方式の動作を実証~

<概要>
 東北大学 電気通信研究所の大野英男 教授らは、超高速動作が可能な新方式の磁気メモリ素子を開発し、その動作実証に成功したと発表しました。
<今後の展開>
 今後、この新構造を用いたメモリ素子の基礎・応用研究により、超高速低消費電力集積回路、およびそれを用いたIoT社会の実現への道が開けていくことを期待しています。

http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2016/03/press20160317-01.html
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160322/index.html


新しいメカニズムによる負の磁気抵抗効果の発見

<概要>
 物質・材料研究機構(以下NIMS)の量子物性グループと、アメリカ強磁場研究所(フロリダ)、オランダ強磁場研究所、首都大学東京、京都大学の研究グループは、非磁性で良導電性のパラジウム-コバルト酸化物において、導電性が磁場により変化する磁気抵抗効果を測定したところ、磁場とともに抵抗が減少し導電性が大きく増加する現象(負の磁気抵抗効果)を観測しました。
<今後の展開>
 今後同じ機構で発現する磁気抵抗効果を示す物質の探索や、デバイス・センサーの開発といった応用面にも新たな指針を与えるものと期待されます。

http://www.nims.go.jp/news/press/2016/03/201603290.html


ペロブスカイト太陽電池の変換効率18.2%を達成

<概要>
 物質・材料研究機構太陽光発電材料ユニットの韓 礼元ユニット長をはじめとする研究グループは、ペロブスカイト太陽電池の標準面積(1cm2)のセルで、世界で初めて18%を超えるエネルギー変換効率を達成しました。
<今後の展開>
 今後は、さらなる高性能キャリア輸送材料や太陽光の波長をより広く利用するペロブスカイト材料を開発すると共に、ペロブスカイト太陽電池の界面制御によって、現在実用レベルでもっとも多く製造されている多結晶シリコン太陽電池のセル変換効率(約20%)を超えることを目標としています。

http://www.nims.go.jp/news/press/2016/03/201603280.html


◆イベント・セミナー等の紹介
「つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)」が「T I A」へ名称変更し新たな活動を開始

TIA-nanoは、4月1日より、名称をTIA(ティー・アイ・エーもしくはティア)に変更しました。新たに東京大学を加えた体制で、連携プロジェクト探索推進事業や常設事務局設置などの新規活動を開始いたしました。
 これまで、「ナノテクノロジー」と「つくば」をキーワードに拠点活動を推進してきましたが、拡大するイノベーションの対象分野および、つくばから柏、本郷、駒場(東京)へと伸張するイノベーションアリーナの方向性を考慮して、「TIA
」の名称で活動を拡大していくとのことです。
http://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20160401.html


SIP「革新的構造材料」2016成果報告会
内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の課題の一つに「革新的構造材料」があります。
「革新的構造材料」では、強く、軽く、熱に耐える革新的材料を開発し、航空機を始めとする輸送機器・発電等産業機器への実機適用を行うとともに、エネルギー転換・利用効率向上を実現することを目指しています。
 今年で3年目
を迎えるにあたり、研究内容、そして最新の研究成果を多くの方々に知って頂くことを目的に、研究者等による成果報告会の開催、およびポスター発表が行われます。
開催概要
【日時】
2016年4月26日(火)10:00
【会場】
イイノホール&カンファレンスセンター(霞ヶ関)
   プレゼンテーション会場:イイノホールエリア
   ポスターセッション会場:イイノカンファレンスエリア RoomA
【主催】国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)
【定員】500名 事前登録制・定員になり次第締切
【参加費】無料
【参加登録】http://www.jst.go.jp/sip/event/k03/20160426/index.html#outline


パワーエレクトロニクスの新しい応用展開創出を目指す人材育成事業を開始

~横国大、大阪大の二大学でセミナー開催~
 
新エネルギー・産業技術総合開発機構は、パワーエレクトロニクスの新しい応用展開を創出できる人材育成を目的とする人材育成事業を開始しました。
 本事業では、横浜国立大学と大阪大学において、座学に加えて機器実習も行う人材育成セミナーを開催予定で、それぞれで受講者募集を開始しています。
 具体的に、本事業では、横浜国立大学と大阪大学が委託先となり、座学だけでなく機器実習も伴うパワエレに関する人材育成セミナーを開催します。セミナーは、パワーデバイスの基礎から電力変換器を作製するまでを実習的に学習するベーシックコースと、次世代パワエレ材料として期待されるSiCやGaNをモジュールやシステムとして使いこなすアドバンストコースで構成されます。
 2016年度は関東地区(横浜国立大学)と関西地区(大阪大学)の2カ所で、それぞれ受講者20名
程度で開催を予定しており、それぞれで受講者の募集を開始しています。事業の詳細及び申込み方法等は下記サイトをご参照ください。
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100549.html


研究成果展開事業「先端計測分析技術・機器開発プログラム」H28年度 公募案内

このプログラムは我が国将来の創造的・独創的な研究開発を支える基盤の強化を図るために、革新的な先端計測分析の要素技術や機器及びその周辺システムの開発を目的とするものです。
 平成28年度の公募は、最先端研究基盤領域において、最先端の研究開発現場での計測・分析ニーズに応える創造的・独創的な先端計測分析技術・機器及び周辺システムの開発を、要素技術タイプおよび先端機器開発タイプで募集します。

□公募要領
【公募受付】「府省共通研究開発管理システム(
e-Rad)」により行います。
【公募期間】
平成28年4月1日(金)から平成28年5月12日(木)正午まで
【注意事項】
① 医療・創薬を主たる目的とする申請は対象外
② 
e-Radでの申請に加えて、印刷した申請書(5部)を5月16日(月)までに送付。
③ 応募者(チームリーダー)は研究倫理講習を修了していることが応募要件

http://www.jst.go.jp/sentan/koubo/index.html
http://www.jst.go.jp/sentan/koubo/H28/gaiyou.html



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◆【連載!神田のカルチェラタン】

~イノベーションは観光資源を生む~


 株価も下がって、色褪せたかのようなアベノミクスですが、訪日観光客は目標とした約2,000万人近くとなり、絶好調です。
気を良くした政府は2020年に3,000万人を目標として設定しました。
 どうやって2020年に3,000万人の目標を達成し、更に増やしてゆくのか、イノベーションに結び付けて考えてみました。 (編集長 馬田芳直)


nano2biz Magazine73号 カルチェラタン
イノベーションは観光資源を生む

 

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