メルマガ nano2biz 第75号をお届けします。
ツツジの花が終わって、これからサツキの季節になります。
花屋さんの店先には、早くも、多種多様なアジサイが並んでいました。売れ筋は「城ケ崎」、「万華鏡」辺りだとのこと。アジサイの種類は3,000種もあるとのことです。初めて見るアジサイを前にしばし佇んでおりました。
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nano2biz News |
◆技術開発動向
■青色顔料が高性能アンモニア吸着材であることを発見
~悪臭除去、PM2.5対策、燃料電池用水素精製へ期待~
<概要>
産業技術総合研究所ナノ材料研究部門ナノ粒子機能設計研究グループ 髙橋 顕 研究員、川本 徹 研究グループ長らは東京大学大学院理学系研究科化学専攻
大越 慎一 教授と共同で、顔料の一つであるプルシアンブルーが一般的なアンモニア吸着材より高い吸着能を持つことを発見するとともに、プルシアンブルーの構造を制御して、アンモニア吸着能を高めたプルシアンブルー類似体を合成しました。 <今後の展開> この技術は、介護施設等におけるアンモニア臭対策、PM2.5の発生抑制技術や、水素燃料中のアンモニアを除去する技術としての利用が期待されています。 今後、技術提供先となる企業や共同研究先を広く募集し、アンモニア除去やアンモニア貯蔵の実用化を目指すとのことです。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160510_2/pr20160510_2.html
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/4673/
■棒状やリボン状に形状制御されたナノ炭素材料の新しい合成法を開発 ~高効率で量産可能な製造方法を開発~
<概要>
産業技術総合研究所電池技術研究部門エネルギー材料研究グループ 徐 強 上級主任研究員とプラディープ パッチファルJSPS特別研究員らは、配位高分子を原料として用いて、棒状やリボン状に形状制御されたナノ炭素材料であるカーボンナノロッドとグラフェンナノリボンの新しい合成法を開発したとのことです。 <今後の展開> 今回開発した合成法は、従来の合成法と比べて簡便かつ高い収率でカーボンナノロッドやグラフェンナノリボンを合成でき、作製したカーボンナノロッドとグラフェンナノリボンは、キャパシターの電極材料への応用など、高効率なエネルギー貯蔵・変換に寄与することが期待されています。また、今回開発した技術はナノ炭素材料の新しい合成法として、幅広い応用が期待されています。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160510/pr20160510.html
■どの方向からも画像が自分に向いているように見えるディスプレイを開発 ~標識・広告・テレビなどでの活用により情報にアクセスしやすい環境の実現を目指して~
<概要>
産業技術総合研究所人間情報研究部門感覚知覚情報デザイン研究グループ 大山 潤爾 研究員は、360度どの方向から見ても画像が正面を向いているように見える表示技術を用いたディスプレイのプロトタイプを開発したと発表しました。 <今後の展開> 今後は、大都市における情報環境の整備や公共施設での静止画ディスプレイなどを対象に二年以内の実用化を目指すとともに、国や自治体、民間企業と連携して技術移転を進めるとのことです。また、動画用のディスプレイも、すでに特許出願中の技術で実現できるため、試作を進められており、2020年には公共スペースやイベント、展示会、商業施設などでの業務用としての実用化を目指し、2030年までには民生用として家庭でも楽しめるように実用化を図るとのことです。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160509/pr20160509.html
■EMC試験で用いる擬似電源回路網を簡単に校正できる技術を開発
<概要>
産業技術総合研究所物理計測標準研究部門電磁気計測研究グループ 岸川 諒子 研究員、堀部 雅弘 研究グループ長と、林栄精器株式会社は共同で、電子機器の安全性を確認する電磁環境適合性(EMC)試験のうち、伝導エミッション試験に用いる擬似電源回路網(LISN)を、簡単に校正できる技術を開発しました。 <今後の展開> 今後、林栄精器は、専用標準器を含むLISN自動校正システムの長期安定性を評価し、製品化を進めるとのことです。また、産総研では、今回開発した測定対象と似た特性を持つ標準器によるインピーダンスの校正方法を発展させ、パワーエレクトロニクス半導体素子や機器のインピーダンス特性評価に適した校正方法の研究開発を行っていくとのことです。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160419/pr20160419.html
■「生体の窓」を使った明るい観察が可能なシリコン蛍光体を開発 ~毒性の強い元素や紫外線を用いない生体深部のイメージングを実現へ~
<概要>
物質・材料研究機構(NIMS)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点のフランソワーズ・ウィニックMANA主任研究員らの研究グループが、白幡 直人MANA独立研究員ら、および名古屋大学大学院工学研究科の馬場
嘉信教授、安井 隆雄助教らと共同で、波長650~1000nmの「生体の窓」と呼ばれる生体を透過しやすい近赤外域において、従来より毒性が低く発光効率の良いシリコン蛍光体を使ったバイオイメージングに世界で初めて成功したと発表しました。 <今後の展開> 今後、研究グループは、二光子励起技術を利用した高い発光収率を活用し、生体深部の蛍光イメージング研究への展開をはかるとしています。
http://www.nims.go.jp/news/press/2016/04/201604250.html
■ビームサイズを自由自在に制御できるX線ナノビームの形成に成功 ~多機能型X 線顕微鏡の実現に1歩近づく~
<概要>
大阪大学大学院工学研究科 山内 和人教授、北海道大学電子科学研究所 西野 吉則教授、理研 放射光科学総合研究センター 石川 哲也センター長らの研究グループが、X線用の高精度形状可変鏡を開発し、X線ナノビームの集光スポットサイズを自由自在に制御することに成功したと発表しました。 <今後の展開> 研究グループは、本成果を応用することで、様々な顕微分析を1台の装置で実施できる多機能型X線顕微鏡の実現など、新しい効率的な実験スタイルが導入されるものと期待としています。
http://www.eng.osaka-u.ac.jp/ja/dat/news/1461284226_1.pdf
■グラフェンの先へ 新材料でトランジスタを開発
<概要>
東京工業大学 工学院 電気電子系の宮本恭幸教授らと理化学研究所、岡山大学からなる共同研究チームが、新しい二次元材料である二硫化ハフニウム(HfS2)を用いたMOSトランジスタを開発したことを発表しました。 <今後の展開> 今後は、HfS2表面保護、電極との接触改善を行い、電解質電極の性能を固体ゲート絶縁膜で実現することを狙う.また、他の二次元材料との異種材料接合による、二次元系トンネルトランジスタ等への発展も期待されるとのことです。
http://www.titech.ac.jp/news/2016/035006.html
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id390.html
■リチウムホウ素化合物の新しい合成法を開発 ~入手容易な原料から1段階で新奇な構造の構築が可能に~
<概要>
理化学研究所環境資源科学研究センター先進機能触媒研究グループの侯 召民グループディレクター、張 亮研究員らの研究チームが、銅触媒を用いて、二酸化炭素(CO2)やホウ素(B)化合物など入手容易な原料から、新奇な構造を持つ「リチウム(Li)ホウ素化合物」を簡便に合成する手法を開発したと発表しました。 <今後の展開>
今回開発した手法は多様なアルデヒド類に適用できる新しい二酸化炭素固定化反応であり、これにより、これまで合成困難であったCO2からのリチウムホウ素化合物合成が可能になることから、CO2の新たな有効利用法の開発にもつながるとしています。
http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160413_2/
■高度な脱塩機能を持つナノ構造カーボン水分離膜のドライプロセス合成に成功 ~窒素ドープ(添加)によって分離性能が向上~
<概要>
信州大学アクア・イノベーション拠点と科学技術振興機構は、DLC(Diamond-Like Carbon)膜のナノ構造を制御することにより、高度な水処理に使用できるナノカーボン製の水分離膜を開発したと発表しました。 <今後の展開> 本研究の水分離膜の製法は、溶剤を使わないドライプロセスでありスケールアップも容易であり、開発されたナノカーボン水分離膜は、高い脱塩特性と透水性、ロバスト性を併せ持っており、資源開発に伴う随伴水の処理など厳しい条件下での水処理膜として応用展開が期待されるとのことです。
http://www.shinshu-u.ac.jp/coi/news/2016/04/post-23.php
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160408-3/index.html
■指で曲げるだけで電流が倍になる有機物半導体を開発 ~従来比15倍の歪感度により低コスト・高感度の応力・振動センサ応用へ~
<概要>
東京大学大学院新領域創成科学研究科 竹谷 純一教授らが、東京工業大学 宍戸 厚准教授らと共同で、指の力を加えるだけで電気伝導度が約2倍になる、柔らかくて印刷できる新しい単結晶高移動度有機物半導体薄膜を開発したと発表しました。この有機半導体薄膜を用いることにより低コストで1桁以上高感度の応力応答デバイスが可能となるとのことです。 <今後の展開> 単結晶高移動度有機物半導体薄膜は、印刷技術を用いた低コストの量産が可能で、柔らかい高感度の歪センサとして、心拍センサなどのヘルスケアー用途、介護ロボット用人体動作センシング、さらに、IoT(Internet of Things)社会の基盤になる低コストセンサへの適用が期待されています。
http://www.k.u-tokyo.ac.jp/info/entry/22_entry474/
◆イベント・セミナー等の紹介
■■公開シンポジウム 「省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発」~青からパワーへ 未来への挑戦~■■
日本発の窒化ガリウム(GaN)による青色LEDは、省エネルギーな明かりを世界中に届けました。世界全体で抜本的なCO2削減が喫緊の課題となる中、GaNの優れた物性を利用した、あらゆる電気機器に入っている電力変換デバイス(パワーデバイス)の省エネ化が切り札となります。そこで、文部科学省ではこの度、GaN研究の第一人者である天野教授を中心に産学官を結集したプロジェクト「省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発」を立ち上げました。
本シンポジウムでは、次世代半導体による省エネ社会の実現及び産業競争力の強化に向け、これまでの日本の半導体研究開発の経験も踏まえ、総合的な討論を行います。
□開催概要
開催日時:2016年5月18日水曜日 14時00分~17時00分
開催場所:学術総合センター 一橋講堂 東京都千代田区一ツ橋
主催:文部科学省
参加:500名(先着順)無料 ※事前申込制
申込方法:本シンポジウムホームページからお申し込み下さい。
https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/detail/0003377.html
プログラム、申込先、その他詳細情報:
https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/detail/0003377.html
■■JST新技術説明会■■
[1]製造技術分野 新技術説明会
日時:6月02日(木) 9:55~12:00
場所:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ヶ谷)
地図:https://shingi.jst.go.jp/access.html
≪プログラム≫
◇10:00~10:25 「ヒトが生きられない環境で動くロボット技術の開発」
◇10:30~10:55 「光パワーロスを低減するGI型フォトニック結晶ファイバ」
◇11:00~11:25 「摩擦攪拌接合による水に浮く発泡アルミニウムの開発」
◇11:30~11:55 「ヨウ化銅のみを原料とする銅の気相選択成膜方法」
https://shingi.jst.go.jp/kobetsu/4u/2016_4u1.html
[2]長岡技科大学・新潟工科大学 新技術説明会
□開催要領
日時:5月19日(木)13:30~15:55
場所:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ヶ谷)
地図:https://shingi.jst.go.jp/access.html
◇13:30~13:55 「日本と御社の明日のために、是非、“イノベーションツール「明日のために!」”を!」
◇14:00~14:25
「金属酸化物機能性材料薄膜合成のための超省エネルギーCVD技術」
◇14:30~14:55 「可視光によって有機物分解、除菌などを目指した色素ナノ粒子からなる一重項酸素発生膜」
◇15:00~15:25 「酸化しない有機物被覆マグネシウム金属微粒子とその製造方法」
◇15:30~15:55 「住宅前の堆雪処理を目的とした省力・低コストな埋設型融雪槽」
https://shingi.jst.go.jp/kobetsu/nagaokaut/2016_nagaokaut.html
■■光ナノ計測実践セミナー ~光でナノを探る~■■
本セミナーでは、共焦点顕微鏡技術、近接場ラマン分光技術、超解像技術等、光を用いてナノスケールの計測・評価を行う技術について講演していただく予定です。
また、実習では、レーザー顕微鏡を用いた観察技術について、基本的なスキルを身につけていただけるコースとなっています。
産学官いずれのご所属に関わらず、多くの皆様のご参加をお待ちしています。
□開催要領
【講演】
日時:平成28年5月31日(火)12:55-17:30
場所:産業技術総合研究所つくば中央2-12棟第6会議室
http://www.aist.go.jp/aist_j/guidemap/tsukuba/center/tsukuba_map_c.html
参加:無料、先着順90名(参加登録必要)
https://ssl.open-innovation.jp/npf/training/h28-1/index.html
講演プログラム:
13:00-13:40「ナノスケールでの分光計測及び関連技術」
13:40-14:20「光学顕微鏡を用いて数十nmのレベルで生物試料を見る」
14:20-14:50「共焦点ラマン分光法を用いたSiナノデバイスの局所応力解析」産業技術
15:10-15:40「AFM RAMANを用いたチップ増強ラマン分光によるナノレベル材料特性評価」
15:40-16:10「3D観察・計測顕微鏡と各種アプリケーション」
16:10-16:40「3次元粗さパラメーターの規格化動向と各種測定機の形状計測特性」
16:40-17:10「レーザー顕微鏡によるフィルム、食品、医薬品の溶液中観察」
【実習】
レーザー顕微鏡実習コース
午前コース:レーザー顕微鏡を用いた工業材料の3D観察・計測と粗さ測定
午後コース:レーザー顕微鏡を用いたフィルム・食品の溶液中観察
※午前コース、午後コース両方の受講も可能です。
日時:平成28年6月1日(水)
場所:産業技術総合研究所つくば中央2-12棟ナノプロセシング施設(NPF)
参加:無料。定員2~4名
但し、実習コースを受講される方は、講義を受講している必要があります。
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