78号 2016/6/29(水)

メルマガ nano2biz 第78号をお届けします。

 道端や土手の雑草も入れ替わり、立ち替わり、目を楽しませてくれます。今、一番目を引くのはヒメジョオンでしょうか。遠くから群生しているのを見ると白い花が点在してなかなか綺麗なものです。
 何でも、幕末に観葉植物として導入されたが、繁殖力が強くてすぐに雑草として扱われ、今や、要注意外来植物に指定されているとのこと。
 花になるか、雑草になるか、当の植物とは関係のないところで決まります。




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nanobiz News
◆技術開発動向
ガラス表面へのナノ構造形成に成功
SiO2ナノ粒子を目的とする場所に選択的に積み上げる手法を構築~

<概要>
 北見工業大学の酒井大輔助教と北海道大学電子科学研究所の西井準治教授らは、AGC旭硝子との共同研究によって、二酸化ケイ素(SiO2)ナノ粒子をガラス表面の目的とする場所に選択的に積み上げることで、ナノ構造を形成することに成功しました。
<今後の展開>
 ガラス表面にナノ構造を形成する技術は、その高い機能性・信頼性からエネルギーや情報等、光が用いられる多くの分野から強く求められています。目的とする場所にのみ薄膜を成長させる技術は世界で初めてであり、これによって作製できる表面にナノ構造を形成したガラスは、耐熱性に優れたホログラムメモリや太陽電池の効率向上に役立つ反射防止板などへの応用が期待されます。
http://www.kitami-it.ac.jp/wp-content/uploads/2016/06/201606press_release.pdf



シルクの材料特性とアミノ酸配列の相関を解明
~シルクの機械的強度、熱的安定性、結晶構造の制御に貢献~

<概要>
 理化学研究所環境資源科学研究センター酵素研究チームの沼田 圭司チームリーダーと高輝度光科学研究センター(JASRI)の増永 啓康研究員らが、北京航空航天大学、インド工科大学、およびチュラーロンコーン大学との共同研究で、シルクのアミノ酸配列が機械的強度、熱的安定性、結晶構造に与える影響を明らかにしました。
<今後の展開>
 本研究で得られた知見は、強度、吸湿性、延伸性などを自在に制御した人工シルク材料の創製につながることが期待されています。
http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160609_1/
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2016/160609/


スピンをレーザーで制御する
~レーザー照射で消磁と金属化を放射光で観測~

<概要>
 東京大学物性研究所の和達 大樹准教授と同大学院工学系研究科の十倉 好紀教授らの研究グループが、ドイツのHelmholtz-Zentrum Berlin(HZB)の研究グループと共同で、強磁性で絶縁性を示す鉄酸化物BaFeO3の時間分解 磁気円二色性測定を行い、レーザーを照射することにより消磁と絶縁体から金属への転移の観測に成功したと発表しました。
<今後の展開>
 本成果は今後、室温で強磁性を示す同様の物質において、レーザーによる磁気情報の書き込みなどの際に、レーザー強度によって場所ごとに書き込む情報を変えるなどの応用につながることが期待できる、とのことです。

https://www.t.u-tokyo.ac.jp/soe/press/setnws_20160607102351529255926783.html


電子1個のスピン情報の長距離伝送・検出に初めて成功
~単一電子スピントロニクスの実現へ~

<概要>
 東京大学大学院工学系研究科の山本 倫久講師と樽茶 清悟教授、ネール研究所(仏国グルノーブル市)のトリスタン・ムニエル研究員らの研究グループが、電子のもつスピンと呼ばれる情報を保ったまま単電子を周囲の電子から隔離して長距離伝送して検出することに初めて成功したと発表しました。
<今後の展開>
 研究グループでは、単一電子スピンの伝送と単一電子スピン単位の量子情報操作を融合させた“単一電子スピントロニクス”への道が拓かれたとしています。

http://www.t.u-tokyo.ac.jp/foe/press/setnws_20160603125005959539852247.html


安価かつ環境に優しい共融系二次電池の開発
~正極側の活物質と電解液に共融系液体を利用~

<概要>
 産業技術総合研究所省エネルギー研究部門周 豪慎 首席研究員 兼 南京大学講座教授 兼 筑波大学連携大学院教授とエネルギー界面技術グループ 王 雅蓉 博士は三菱自動車工業株式会社と共同で、世界で初めて正極側の活物質に共融系液体を利用した二次電池を開発した。
<今後の展開>
 今後は、負極側にも共融系液体を用いた全共融系型二次電池を含め、優れた性能を示す実用的な共融系電池の開発を推進するとのことです。

http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2016/nr20160608/nr20160608.html


室温で動作するマルチフェロイック薄膜の開発に成功
~ナノシートの積木細工で実現 次世代の多機能電子素子への応用に期待~

<概要>
 物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の長田実 主任研究者、佐々木高義 フェローらの研究グループは、次世代の多機能電子素子として期待されるマルチフェロイック材料において、酸化物ナノシートの積木細工により、実用上重要な室温で動作する新しいナノ薄膜の開発に成功しました。
<今後の展開>
 マルチフェロイック材料の開発に向けて新たな設計指針を与えると同時に、室温での動作が可能になったことで、マルチフェロイック・ナノ薄膜が持つ多機能性、低電圧動作という特徴を利用した低消費電力型メモリなどへの応用展開が期待されます。

http://www.nims.go.jp/news/press/2016/06/201606160.html


ZnOコーティングによる高性能ベアリングの開発に成功
~摩擦を約3分の2に低減し、災害時用小型ジェットエンジン発電機を実現~

<概要>
 物質・材料研究機構、エネルギー・環境材料研究拠点の後藤 真宏 主席研究員、情報統合型物質・材料研究拠点の佐々木 道子NIMSポスドク研究員、構造材料研究拠点の土佐 正弘グループリーダー、ならびに、東北大学 多元物質科学研究所の栗原和枝 教授、粕谷素洋 助教らは、NIMSが独自に開発した環境に優しい低摩擦材料である酸化亜鉛(ZnO)について、その低摩擦特性を保持したままベアリングボールにコーティングする技術を開発し、ベアリングの摩擦係数を約2/3に低減させることに成功しました。また、このベアリングを小型ジェットエンジンに搭載することにより燃料消費量を1%削減し、FOXコーポレーションと共同で、災害時用の小型ジェットエンジン発電機を開発しました。
<今後の展開>
 今回開発した低摩擦ZnOコーティングは、常温から高温まで、かつ、油中、真空中、大気中において幅広く使用できるため、ベアリングへの応用だけに留まらず、低摩擦化が必要なあらゆる駆動部への応用が期待できるとのことです。今後、自動車などの多くの駆動部にこの技術を適用することにより、さまざまな分野での省エネルギー化の実現が期待されています。

http://www.nims.go.jp/news/press/2016/06/201606080.html


◆イベント・セミナー等の紹介
日本を元気にする産業技術会議シンポジウム「持続可能な社会に向けた磁性材料イノベーション」

~磁性粉末冶金研究センター設立記念シンポジウム~
 産業技術総合研究所が、平成28年4月に設立しました「磁性粉末冶金研究センター」では高性能耐熱性磁石の創製や磁気冷凍技術の研究開発を行い、自動車用の次世代モーターの創製や温暖化効果物質を使わない新たな冷凍システムの実用化を目指しています。
 本シンポジウムでは、産総研における磁性材料イノベーションに向けた戦略を紹介するとともに、関連ある分野の方々の講演が予定されています。

□開催要領
日時:
2016年7月7日 木曜日 13時30分~15時30分
会場:日経カンファレンスルーム
   〒100-8066 東京都千代田区大手町1-3-7 日経ビル6階
主催:産業技術総合研究所/日本を元気にする産業技術会議
参加:無料、
   申込必要/定員300名
https://www.aist-renkeisensya.jp/info/index.php?mode=detail&code=721


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◆【連載!神田のカルチェラタン】

~技術立国を目指して~


 現在の編集長が書く「神田のカルチェラタンから」は、今号(78号)が最後になります。
3年半近くの長きに亘り、お付き合いいただき厚く御礼申し上げます。
 そんなこんなで、今回はこれまでの雑多なコラムを総括する形でまとめさせていただきました。あくまで私見ですので、こんな考え方もあるんだなという程度に読み流してください。
(編集長 馬田芳直)


nano2biz Magazine78号 カルチェラタン
~技術立国を目指して~

 

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代表) FAX:03-5280-5710

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