NANOTECHNOLOGY BUSINESS CREATION INITIATIVE
ナノテクノロジービジネス推進協議会
ナノテクノロジーをビジネスに



ナノカーボンFAQ

HOME イベント・関連情報 ナノカーボンFAQ 関連リンク
HOMEナノカーボンFAQグラフェンとは



ナノカーボンFAQ

作成 2017.2.8

グラフェンとは

■回答

グラフェン1)は、炭素原子が六角形を平面に並べた炭素一層分の厚みを持つ、2次元材料です。層状物質であるグラファイト(黒鉛)の一層分であり、古くから理論的に存在が知られていましたが1〜3)、1層としての存在が熱力学的に不安定とされてきました。4,5)

2004年にK.Novoselovらが単層としての存在を初めて示し6)、電気特性を明らかにする中で、高い移動度を実験的に示しました。さらに、粘着テープを利用してグラファイトから1層のグラフェンを引きはがす簡単な方法でグラフェンを繰り返しつくり、翌年、グラフェンの特異的な量子ホール効果に関する論文を発表しています。7)
英マンチェスター大のA.K.Geim、K.Novoselovの両博士には、「二次元物質グラフェンに関する革新的実験」8)を受賞理由に2010年のノーベル物理学賞が贈られました。9)

グラフェンは非常に強くてしなやかで、高い移動度(室温において100,000 cm2/Vs)、高い電流密度(109A/cm2)、優れた機械特性、高い熱伝導度など、非常に優れた性質を持っています。
透明で電気をよく通し、常温での電子の移動速度はあらゆる物質の中で最も速く、近年、広いシートを作る方法も見つかり、携帯端末にも使われているような透明なタッチパネル、太陽電池などへの応用が期待されています。半導体の性質も持ち、超高速トランジスタへの応用も可能です。

グラフェン図を以下に示します。

名古屋大学 齋藤弥八教授(http://www.surf.nuqe.nagoya-u.ac.jp)よりご提供いただきました。


■出典等

1) 佐藤 信太郎, 応用物理 vol.82,No12, 1012,(2013)
2)J.W.McClure;Physical.Rev.104,666,(1956).
3)J.C.Sionczewski and P.R.Weiss;Physical Rev.109.272.(1958)
4)P.R.Wallace;Physical Rev,71,622,(1947)
5)R.E.Peieris;Ann.I.H.Poincar 5,177
6)L.D.Landau;Phys.Z.Sowjetunion 11,26(1937)
7)K.S,Novoselov,A.K.Geim,S.V.Morozov,D.jiang,Y.Zhang,S.V.Dubonos,L.V.Grigorivea,and A.A.Firsov;Science 306,666(2004).
8) .S,Novoselov,A.K.Geim,S.V.Morozov,D.jiang,Y.Zhang,D.Jiang,M.I.Katsnelson,,L.V.Grigorivea,S.V.Dubons and A.A.Firsov;Science 438,179(2005).
9)http://www.asahi.com/special/nobel/TKY201010050347.html